第26話 Zenith name 到達点
「思ったより早かったな」
ワンボックスカーの中で楽しそうに
「本音を言えよ…オマエ俺を殺したいんだろ?」
俺の顔を掴もうと手を伸ばす、俺はその手首を掴み返し殺意を込めて睨み返す。
しばらくの無言…。
「こっちの顔が本来のってことか…なるほど…人殺しの顔だよ…」
「何人も殺した…」
「あっ?」
「何人も殺した…戦場で、ためらいは無い…生きたいと思ったことはない…死にたいとも思わない…ただ、そういうものだと思ってたから、殺しただけだ…殺されたくは無かったから…それだけ」
「いいね…その目…ますます殺したくなったよ
それっきり、
車が停まり、ドアが開くと叔母が出迎えに出てきた。
「今度は名乗ってもいいわよね」
受け取った名刺には、ARK研究所 遺伝子工学研究室 主任研究員 野田 彩矢子と印刷されている。
「本名は名乗らない…そういうことだろ」
「今はね…名乗っても意味は無いし」
「アーク…箱舟にノア…世界を破滅させる気か?」
「破滅する世界を救済する気よ」
彩矢子の表情が少し険しくなった気がした。
「おいおい話すわ、今日は何もしなくていいわ、明日施設を案内するから、IDも明日渡すわ」
「明日からは、ARK財団の研究施設の所員よ」
「遺伝子工学を学ぶのか?」
「それもあるけど…我々の目的は…ううん、それも、おいおい理解してもらえばいいわ」
あの時と同じ部屋…。
翌朝、僕の部屋をノックしたのは、世話役として紹介された女性『サクラ』だった。
「サクラさん…」
「またよろしくお願いします」
「また?俺の世話役するの?」
「正確には助手です」
スッと手渡されたIDカードには、僕の顔写真と新しい名前…。
『野田 亜紀人』
「のだ あきと…か」
「あなたは、ノアを名乗れますから」
「ノア…ね…」
俺の新しい生活が始まる…。
第一章 完
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