古き友人を訪ねるときは、頼みがあるときだ

 「で、これからどうするんですか? わたくし達が探知されていた以上、この街での襲撃が一回だけだとは思えませんね」

 店から出て、更に路地裏の怪しい地帯からも抜けてからマイディはスカリーに尋ねる。

 中央通りでこそ無いが、それなりに人通りが多い現在地ならば人混みにも紛れることが容易よういであるという判断からだった。

 だが、スカリーは答えない。

 「スカリー? 聞いているのですか? わたくしの質問に対して無視を決め込もうだなんて良い度胸ですね。バスコルディア教会流教育術その四を食らわせてあげます」

 「マイディ、ちょっと待ってよ……」

 短気を起こそうとするマイディをハンリが制する。

 「なんですかハンリちゃん? こういうのに対しては早期に手を打っておかないといけません。汚れと同じで、人間も考えがこびりつくほどに払拭ふっしょくするのが難しくなるのです」

 「じゃなくて、ほら」

 ハンリが指さしたのはスカリーがズボンの後ろにくっつけている紙片だった。

 〈何も言わずについてきてくれ。事情は後で話す〉

 かなりの悪筆だったが、そう書いてあるのは分かった。

 「なるほど……分かりました」

 やや不満げな顔でマイディは一応、納得する。

 なんとかマイディがスカリーに突っかかることを阻止できたハンリは胸をなで下ろした。

 (もう、スカリーも黙ってないで少しは相談してよね)

 まるで年下の弟の面倒を見る姉のような心境になりながら、ハンリはそう考えた。

 


 物言わず、スカリーは歩を進める。

 マイディもハンリも、駐めていた馬車の方角ではないことには気づいていたのだが、スカリーからのメッセージを守り、黙ってついて行った。

 だんだんと開けた場所になっていく。

 人通りは少なくなり、その代わりに荷馬車が交通量の多くを占めるようになる。

 その中には積載量が格段に大きいモンスターを使ったものもあった。

 やがて、スカリーは一つの倉庫のような場所の前で足を止める。

 看板も何も出ていない上に、窓も見当たらないので、少なくともマイディとハンリは倉庫だと思った。

 やけに重厚で巨大な鉄製の扉をスカリーは力をこめて押し開ける。

 人間や、荷物が通るにしてはやけに大きな扉はカタカタと音を立ててゆっくりと開いた。

 窓がないために室内は暗く、入り口周辺ぐらいしか見通しはきかない。

 黙って中に入るスカリーに続いて、マイディとハンリも入る。

 三人が入ると、大きな扉は再びカタカタと音を立てて閉まる。

 扉が閉まりきると、外から入ってくる太陽光がなくなったことにより、室内は一メートル先も見えなくなる。

 ハンリにはスカリーとマイディがどこに居るのかも分からなくなっていた。

 「二人共、ここからは貝みてえに閉じてた口を開いてくれてもいいぜ」

 闇の中でスカリーの声が聞こえた。

 「それではスカリー。わたくし達はなぜこんな暗い場所にいるのですか? わたくし、お風呂に入りたいのですけど。あとお腹がすきました」

 真っ先にマイディがスカリーに質問と、抗議をぶつける。

 「わりいが、それは無理だ。食事はどうにかなるが、風呂は完全に無理だな」

 全く悪びれていない口調でスカリーはマイディに答える。

 「は? なんですか、スカリー。それはわたくしに対してお風呂を我慢しろと行っているのですか? ごまかされませんよ。わたくしはすでにバーゼムさんからこの街のお風呂付きの宿を聞き出しているのです。お風呂そのものがないという言い訳は通用しませんよ」

 「そうじゃねえ。もうこの街は脱出する」

 「そ、それってどういう――」

 ことなの、というハンリの疑問は、何かのうなり声に中断された。

 地の底から響いてくるかのようなそのうなり声は、まるでこの建物全体が振動しているかのようだった。

 「な、なにが……」

 「ハンリちゃん、わたくしの後ろに」

 ぐい、と手を引かれて、ハンリはマイディの後ろに移動させられる。

 音もなくマイディは山刀を引き抜く。

 「おいおいマイディ、止めろ。機嫌が悪くなるだろうが」

 「誰のです?」

 「我のだ」

 マイディの疑問に答えたのは、スカリーではなく、腹に響く重低音だった。

 瞬時にマイディは戦闘態勢に移行する。

 何が起こってもすぐさま反応できるように、肉体が厳戒げんかい態勢に入る。

 同時に、瞳の緋色がその深さを増し、暗闇での視力を拡大する。

 ゆっくりと、霧が晴れるように明瞭になっていく視界に、マイディは一つの巨大な生物を見た。

 それは巨大だった。

 それはうろこに覆われていた。

 それは凶悪なかぎ爪を持つ手を重ねて、その上に頭を乗せて伏せるようにして寝ていた。

 ドラゴン、と呼称される個の戦闘能力としては他の追随ついずいを許さないその生物は、静かに黄色い目だけを向けて、マイディ達を視界に収めていた。

 マイディの後方からハンリの動揺が伝わる。

 ハンリにはすぐ前方にドラゴンがいるということは分からないのだが、それでも生物の本能が声だけでその恐ろしさを察知したのかもしれなかった。

 「よう、大将。悪いが、明かりを点けてくれねえか。俺はアンタほど目がよくなくてね」

 「ふん。人間は不便だな。よかろう」

 ぎしり、とドラゴンの体から軋むような発せられる。

 すると、小さな光の球体がいくつも室内に発生して、柔らかな明かりとなる。

 当然、ハンリもドラゴンの姿を目にすることになる。

 「……ひっ……き、ムグッ」

思わず叫ぼうとしたハンリの口をスカリーが塞ぐ。

 「ハンリ、叫ぶんじゃねえ。大将は高音が嫌いなんだ。女の悲鳴なんかは特にな」

 じたばたと暴れるハンリをなんとかなだめようとスカリーは四苦八苦する。

 一方、マイディも口にこそ出さないが、かなり動揺していた。

 今の距離で目の前のドラゴンが暴れ出したら、それを抑える自信は無かった。

 人間の筋力はぶっちぎっているマイディだったが、圧倒的な質量差は、そのまま打撃の威力の違いになってくる。

 例え受け止められてとしても、そのまま壁を突き破るほどの勢いで吹っ飛ばされるのは試してみるまでもなかった。

 いざとなれば、ハンリだけでも掴んで一直線に逃げ出すという選択肢しか思いつかない。

 そんな風にマイディがかなり張り詰めた精神状態になっていると、なんとかハンリを黙られることに成功したスカリーがドラゴンの前に進み出る。

 一歩、二歩と拳銃も長剣も抜くことなくスカリーは無防備にドラゴンに近づく。

 止めるべきかどうかマイディが迷っている間に、スカリーはすでにとっさのフォローが不可能な位置まで近づいていた。

 ドラゴンは何かの気まぐれを起こして噛みつきでもしたら、その牙が即、届く距離だ。

 「久しいな。スカハリー。お前にしてやられた傷はやすのに手間取った」

 「それでも治っちまうんだから、ドラゴンってのは大したモンだな。レンナーあたりにサンプルを提供したら喜びのあまり街中を走り回っちまうんじゃねえか? 大将は見たくもねえだろうが」

 飄々ひょうひょうとした調子でスカリーはドラゴンに軽口を飛ばす。

 その様子にマイディの緊張が解ける。

 「お知り合いですか? スカリー」

 「ああ、昔ちょいとばかりな。ドンキーの奴も知ってるから、そのうちにでも訊いてみるんだな」

 マイディの問いに対してははぐらかしながら、スカリーはドラゴンに顔を向ける。

 「大将、頼みがあるんだ。俺たちを乗せて今すぐ飛んで欲しい」

 わずかに、ドラゴンの瞳が細くなる。

 「ほう? 我に人間を乗せて飛べ、と言うのか? この剛竜スカンドヴァルティにか?」

 自らのことをスカンドヴァルティと呼んだドラゴンは愉快そうな調子でスカリーに聞き返す。

 「ああそうだ。他のドラゴンが言うところの“下等な”人間を乗せて飛んでくれねえか?」

 本来、ドラゴンという種族はプライドが高く、他の種におもねるることをよしとしない。

 生物としての強靱さがそうさせているのだが、特になんらかの異名をもって呼ばれるドラゴンは特にこの傾向が強い。

 このスカンドヴァルティも剛竜という異名を持っている以上はその例に漏れないであろう事は容易に想像できた。

 それこそ、マイディでも。

 故にマイディは重心を低くして、瞬時にハンリを掴んで逃亡できるように体勢を整える。

 もはやスカリーの事は諦めていた。

 だがその決意は徒労とろうに終わった。

 「ふ、ふふ、フハハハハハハハ!」

 ごう、と風が起こる。

 スカンドヴァルティが口を開けて笑った。それだけでスカリーの帽子が飛びそうになるぐらいの風が発生したのだった。

 「相変わらずお前は無茶なことを言うものだ。だが、よかろう。お前には借りがある。我の下らぬ矜持きょうじなど、それにすれば取るに足らぬ」

 「ドラゴンが義にあつい種族で助かったぜ」

 「ぬかせ。我は我自身のためにではなく、存在としての礼を示すために行動するのだ」

 豪快な音を立てて笑うドラゴンと、どこか皮肉げな表情で笑う人間。

 およそマイディもハンリも見たことがない光景だった。

 


 「さて、ではスカハリー。我は飛翔のために外に出なければならない。だが、このくらは我を閉じ込めるための場所でもある。たやすくは出られんぞ?」

 頭を起こして、スカンドヴァルティはどこか愉快そうに問う。

 「おお、そりゃあずいぶんと悪いことしたんだな。いたずらスカンドヴァルティは狭い狭い箱の中ってわけだ」

 拳銃を抜き、装填していた弾薬を捨てて、スカリーは剣弾ソードバレットを取り出し、六発装填する。

 「我は他の種族の善悪には興味が無い。我は我の思うように存在する」

 「ご大層なこった。もっと楽に生きた方が人生楽しいと思うぜ。いや、竜生か? どっちでも……いいか!」

 銃声バン。銃声。銃声。銃声。銃声。銃声。

 天井に剣弾が撃ち込まれる。

 「んじゃ、あとは吹き飛ばしてくれ。剣弾、スラッシュ!」

 「よかろう」

 スカリーの声に反応して、剣弾がその力を発揮する。

 問答無用の切断の弾丸は、天井を見事な正六角形に切り抜く。

 「グガアァァァァァァァァァァァァァア!」

 スカンドヴァルティの咆哮ほうこうによって、すさまじい上昇気流が発生する。

 直接は受けてないハンリの体が浮き上がりそうになるぐらいのすさまじいものだった。

 当然、直撃を受けた天井は吹き飛ばされ、六角形の穴を晒す。

 いつの間にか外はすでに日が暮れ、闇に染まり始めていた。

 それを確認すると、スカンドヴァルティはゆっくりと身を起こした。

 動作の一つ一つが重々しく、巨大さを否応いやおうなしに実感させられるものだった。

 立ち上がったスカンドヴァルティは風の精霊に集合命令を掛ける。

 命令を聞いた風の精霊が集まり、その密度が高まるにつれ、本来は才能ある者しか見ることが出来ないはずの風の精霊がハンリやスカリーにも見えるようになる。

 無数の羽が巨大なドラゴンの周りをせわしなく動き回っていた。

 「スカハリー、しばらく時間が必要になる。そうだな……一日の四八分の一ほどの時間が」

 周りの風の精霊を確認して、スカンドヴァルティは言う。

 「さすがに、久々だと時間がかかるみてえだな。まあいいさ。多分大慌てて駆けつけてくるから、退屈はしねえ」

 ひらひらと手を振りながらスカリーはスカンドヴァルティに背を向け、マイディとハンリの方に向く。

 「つーわけで、大将に乗って脱出する。そのままオルビーデア直行だ」

 唖然としていたハンリはオルビーデアという単語に反応して、なんとか思考回路が起動する。

 「帰れるの⁉ わたし、オルビーデアに⁉」

 「ああ、大将なら一晩飛び続けりゃあ着くだろ。あとはマイディ、それまでは俺達の仕事だ」

 剣弾を捨て、通常の弾薬を装填しながらスカリーはマイディに目線をやる。

 にっこりと笑みを浮かべて、マイディは山刀を両方抜いた。

 「ええ、群がってくるであろうハンリちゃんを狙う者どもは、わたくしが教育してあげます」

 ハンリが今のマイディの顔を見ることが出来ない位置にいてよかった、とスカリーは思った。



 十五分後。

 ぼうっとスカンドヴァルティを眺めていたハンリはスカリーとマイディの気配がほんの少しだけ変化したことを察知する。

 「マイディ、おめえは下。俺は上のをやる」

 「分かりました。ハンリちゃん、あの……スカンドなんとかさんの近くに居てください。怖かったら目をつぶっていて大丈夫ですからね」

 あくまで優しくハンリに指示を出して、マイディは入り口に駆け寄る。

 カタカタと音を立てて、巨大な扉が開き始めていた。

 人間が通れるぐらいの隙間が開くのと同時にマイディは外に飛び出す。

 それを見て、ハンリはマイディに言われたとおりにスカンドヴァルティのそばに寄る。

 見上げるドラゴンは、その巨大さと、周りに従える風の精霊によって、ハンリに圧倒的な存在感を与えた。

 銃声。銃声。

 スカリーの拳銃が火を吹く。

 六角形に開いた穴から中をうかがっていた人間が脳天を撃ち抜かれて落下する。

 ぐしゃり、と生々しい音を立てて人間から肉塊に代わったモノが床に落ちる。

 思わずハンリは耳をふさぐ。

 肉塊にはまったく気を払わずにスカリーは突入してくる者を警戒し続けた。



 闇を切り裂くような一閃で、黒ずくめの人物の胴体が上半身と下半身に分けられる。

 手応えだけでそれを確認すると、マイディは次の獲物に向かう。

 (七人ですか。ま、楽勝ですね)

 感じとった気配はそれだけだった。

 増援が到着する可能性もあるが、それがリリゼット級の実力でも持っていない限りはマイディとスカリーをどうにか出来る可能性はないと考えた。

 夜が訪れ、人通りが更に少なくなった通りには隠れる場所もないので、マイディに対しては接近戦を挑むしかない。

 よって、黒ずくめ達は最初の一人がやられてからは距離を保ってマイディを囲んでいた。

 ある程度の密集状態を維持し、必ずマイディに対しては複数でかかる。

 そうやって、なんとかマイディの疲労を狙うつもり、だった。

 「らちがあきませんね。わたくし、あまり気が長い方ではないのです」

 左手の山刀をマイディは地面に落とす。

 予想外の事態に黒ずくめ達はわずかに動揺するが、すぐに片方の武器を失ったマイディに対して、じりじりと距離を詰め始める。

 防御にも攻撃にも転化するマイディの山刀は厄介だったが、それが一振りになってしまったことは圧倒的に有利になる条件だった。

 機会を逃すまいと、距離を詰めようとして……黒ずくめの一人の頭に弾丸がたたき込まれ、その斜め後ろにいた黒ずくめも腕に弾丸受けて、持っていた短剣を取り落とす。

 「双山刀ダブルマシェットマイディの名前は返上しましょうか。これからは、そうですね、双死ダブルエンドマイディとかそういうので」

 にっこりと笑うマイディの左手には切り詰め銃身ソウドオフ散弾銃ショットガンがあった。

 ドウゼムゴルド銃砲店で二丁購入したモノだった。

 ハンリに見せて、驚かすつもりだったのだが、ここに来て使うことになってしまったことは少々マイディには不本意だった。

 「ま、そういう訳で、わたくし、ちょっとだけ八つ当たりをします。悪く思わないでください。では……死ね」

 銃声ドバン

 銃口から放たれた鉛玉が間隔を広がりながら黒ずくめ達に飛来する。

 飛翔する弾丸を人間が見切れるわけもない。

 避けられるのはある程度の予測を以て弾道を予測し、その射線を回避することによって被弾の確率を下げているだけである。

 故に、近距離で放たれた散弾を避けるすべを持つ者はこの場には居なかった。

 黒ずくめの三人が被弾する。

 致命傷には至らないが、それでも負傷に対して注意が向いた一瞬。

 その一瞬でマイディには十分だった。

 ごう

 一人の頭を砕き、一人の首をへし折り、一人の心臓を突き刺し、距離を詰めたマイディは三人をほふった。

 中折れ式の散弾銃を折り、排莢。

 水平二連式の散弾銃は一度に二発装填できる。

 器用に山刀を持ったままで、マイディは二発装填し、残りの四人に体を向ける。

 返り血の一滴も浴びていないその姿は、恐怖を抱かせるのには十分だった。

 


 銃声バン。銃声。銃声。

 スカリーの拳銃が火を吹くたびに、床に肉塊が落下する。

 数は七体になっていた。

 最初の二人がやられてからは、負傷覚悟で飛び降りてきていたのだが、全員が落下中に急所を撃ち抜かれて即死していた。

 弾倉を振り出し、空薬莢を捨てる。

 素早く新しい弾薬を装填し、射撃可能にする。

 一連の動作を素早く、そして見ることなくこなすスカリーは、全く油断せずに天井の穴を警戒し続ける。

 外で派手な発砲音があったが、敵の用意した武装でないことはなんとなく分かった。

 「マイディの奴、なにを買いやがったんだ……」

 少なくとも、スカリーが使用している拳銃よりも重たい音がしたことは確かだった。

 やがて、二発の銃声が再びすると、外が静かになった。

 スカリーも天井部分には気配がなくなったことを確認する。

 (第二波は終了ってか? んなわけねえ。探知の魔法が切れたことは分かってるはずだ。なら、戦力の逐次ちくじ投入なんてことはしねえ。まだ後詰めはいる)

 今までの戦闘経験がスカリーにそう確信させた。

 「よいしょっと。スカリー、外の掃除は終わりましたよ。でも、まだまだやってくるでしょうね」

 少しだけ開いていた扉の隙間からマイディが呑気のんきな様子で入ってくる。

 「んだよマイディ、新品のお披露目は済んだのか。お相手さんの感想は?」

 「何も言えないぐらいに素晴らしかったみたいです。昇天してしまうぐらいに」

 「……俺には一生披露しないで欲しいもんだ」

 「まあ、スカリーに銃口が向くことはないでしょう、多分」

 「多分かよ……」

 「ええ、多分」

 肩をすくめながらスカリーはマイディを見る。

 返り血一つ浴びていないのはいつものことだったが、いつもと違うのは両手に違う武器を持っていることだった。

 片手に山刀、片手に切り詰め銃身散弾銃。

 とても神職に就いている人間には見えなかった。

 服装だけは尼僧服だったが、それを変えてしまったら正直、快楽殺戮(さつりく)者にしか見えない。

 「ったく、ドンキーに説教されても知らねえぞ」

 「あら、美少女のためなら司祭様も納得してくださいます」

 「……だろうな」

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