第119話(聞いていくと)
俺の中では何かが引っかかるものの、彼の声が聞こえるのは丁度良かった。
今どういった状況になっているのかが、すぐにわかるし、それに声のする方に向かえば敵にたどり着くからだ。
そして説明を聞いていくと、
『だがあのシーナという姫と、マサト、お前を会わせるのはできるだけ避けたかった。少しでもお前を消耗させたかったからな。そしてあの姫に外部に助けを求められては困る、そう私は考えていた。もっとも、その企みはお前と同じ異世界人に阻止されたがね』
そういった話をしている。
『そう、君の友人だったのか、それはそれは。だが、まさかかこんなことになるとは。何が目的? 目的はさっきも言っただろう? 私はこの素晴らしい力を持つ私がすべての頂点に立つ、それが必然なのだ。選ばれしものが愚かな人々に付き従う、それこそがおかしなものでは? 私が支配すればもっと上手くできる。何しろ、くだらない名誉や欲望など消し去れるのだからね』
といったように滔々と、自分の素晴らしい能力による希望に満ちた未来を語っている。
だが、それはあまりにもぼやけた“夢”のように聞こえる。
そこでシーナが、
「このままいけば、最高に美味しいところでたどり着いてマサトのお手伝いができそうね」
「……そうだな」
俺はそういいながらも、もう勝つのを確信しているシーナを見つつ俺は、ある件に関して引っかかりを覚えているとそこでロゼッタが、
「シーナ、もう少し落ち着きなさい。敵の術中にはまっているわよ?」
「でも、マサトがいれば彼の能力で敵の能力を相殺できる」
「アキラ、貴方は何か疑問がない?」
ロゼッタに問いかけられて俺は、先ほどから覚えていた不安を口にする。
「あまりにも出来すぎていないか? まるで……俺たちの到着を待つかのように、こんな風に話をして足止めをしているように見える」
「そうね。でも……突入しないという選択肢がないのだから、気を付けて突入するしかなさそうね」
ロゼッタがそう呟くのを聞いて、俺も気を付けようと思う。
やがて階段を上がり声のする方に向かうと、大きな扉が見えてくる。
中は広いホールのようなものになっているとシーナは言う。
いきなり中から攻撃される危険を承知しながらも、防御の魔法を準備して扉を開ける。と、
「待っていたぞ」
敵の男が勝利を宣言するかのようにそう言って、そこで俺のと視界がゆらりとゆがむのを感じたのだった。
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あとがき
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