第116話(悪い笑み)
そして、町を出発して道を進んでいくと、俺とシーナが一番初めに出会った場所にやってくる。
そういえば、適当な場所に俺は呼ばれて特殊能力(チート)を持たされて放り出されたが、ここでシーナと遭遇することになった。
この世界の神様とやらは、こうなる事をすべて計算していたのだろうか?
そう考えた俺だが、すぐに首を振る。
もし聞く機会があったとして、もしも俺が聞いたなら、すべて計算通りだといいそうだ。
何しろ自由に特殊能力(チート)を選べるはずが、選択肢から選ぶことになったのだから。
ただ、この“効率チート”のおかげで、色々な魔法が使いやすい面もある。
初めはこんな訳の分からない能力でどうするんだと思ったが、意外にいろいろと使える。
そもそもこの能力のおかげで、この世界の魔法は……初心者なのに、そこそこ威力のあるものが使える。
しかも、効果的に相手を攻撃するようになるのだ。
こんな効率的で効果のある能力はないだろう。
といった話を考えているとシーナが俺に、
「どうしたの? 何か考え事?」
「いや、変な能力だなと思ったが、こうして振り返るとすごく使い勝手が良くて効果的な能力だなと」
「“効率チート”ね。私もこんな能力が欲しかったわ。……でも、この世界の人間がそういった能力を持つと、今回の敵のような危険があるわけよね」
ぽつりと呟いたシーナ。
この世界では珍しい、現地人の特殊能力者。
なぜこのような行動に出たのかは分からないが、この世界でもやっていいことと悪いことはある。
そしてあれは悪いことの方だ。
そう俺は思いながら黙っていると、シーナが、
「マサト達よりは遅れていて、戻ってこれた頃にはすべてが終わっているかもしれないけれど、急ぐに越したことはないわ」
「むしろすべてが終わってくれた方がいい。……それくらいに実際は楽に倒せる相手だったという事だろうし」
「そうね。……そうだと思いたいわ」
シーナがそう呟いて一度沈黙する。
そうしてしばらく進んでいくとそこで、大きな都市が見えてくる。
今までの町とは比べ物にならないくらい広い。
だがその周りには、巨大な軍勢が控えていた。
ロゼッタがそれを見て、
「……もうこんなに集まっているなんてね。さて、どうしましょうか。……こうなったら、私が直接“指示”を出して時間を稼ぐしかないかしら」
「どうする気?」
シーナの問いかけにロゼッタは、悪い笑みを浮かべたのだった。
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あとがき
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