第101話(城の中へ)
俺の左右をロゼッタとシーナが走っていく。
そういえば強行突破と言っていたな、と思っていると即座に門番二人を魔法を使って倒してしまう。
風系と氷系の魔法だったが、それらはすでに見たことがあるものだった。
こういった使い方もできるのか、と学習しているとそこで目の前の桟橋に通じる大きな鉄製の扉が開かれていく。
中から開けてもらえるのは、その鉄の扉が重そうなのもあって良かったと思いたいが……俺の身長の1.5倍で筋肉質な男で、甲冑などをつけ、手には棍棒を持っている男が目の前に現れれば、よかったとは言い切れない。
けれど彼の目もまたぼんやりと虚空を見ているような正規のない目をしているも、俺たちが近づくとぎょろりとこちらの方を向く。
その眼光の鋭さに一瞬俺は足はすくむものの、この人物を倒さないと中に入れない。
俺は剣を取り出してこの人物を気絶させるような攻撃と思って、先ほどシーナが使った技を思い描きながら、
「“疾風の影”」
同時に俺の剣の周りに風がうごめき、それを目の前の男は棍棒で払いのけようとするも、俺の剣を受け止めるどころか一瞬にして真っ二つになってしまう。
それが衝撃的だったのかもしれない。
一瞬だが声を上げて目を見開いてこちらを見た。
この操る何かの力は、もしかしたなら人の“衝撃を受けた感情”があるとそれのせいで正気に戻るのかもしれない。
とはいえ、すぐに再び襲われてはたまらないので俺は、剣で殴る。
ごすっと重い衝撃を手に感じ、再び目の前の男のうめき声が聞こえたがそのまま崩れ落ちていく。
特殊能力(チート)を使っているので死んではいないと思う。
うん、大丈夫大丈夫。
俺はそう言い聞かせてその場からさらに進んでいくことにする。
正確には俺が大男を倒すや否や、シーナたちが俺の横を駆け抜けていって中に飛び込む。
安全かどうかを確認しないで入り込んでいいものか、と俺が思っているとそこでシーナが振り返り、
「そこの人、ええ、町の人ね。この大男を桟橋からどけて! これから敵が来るからここの扉を閉めるから!」
「ええ!」
「いいから早くして、私、シーナ姫の命令よ!」
その言葉に町の人はざわめいて、そういえば見たことがあるだのなんだのといった話が聞こえるも、
「早くして!」
「はい!」
町の人たちが走り寄り、男を連れていく。
そしてわたり切った所で、すでに城の中に入り込んだ俺たちは扉を閉めて、桟橋を上げたのだった。
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あとがき
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