第64話 剣
ロゼッタは負けると認めるのは嫌であるようだ。
そして、確かに途中で勝負は中止になったと言えるが……。
そこでシーナが、
「マサトを探す手伝いと……できれば、あいつらに占領された私の家を取り戻したいのよ。……おそらくはロゼッタの“彼ら”とも関係している」
「……そういった事情なら構いませんわ。ただ、私達も命を懸けるのは嫌ですので、あくまでも“お手伝い”で、といった形までです」
「それだけで十分よ。何はともあれ、マサトを見つけて連れてくればこちらの勝ちだもの」
「……詳しい話は後で聞かせてもらおうかしら。シーナ、貴方の話はところどころ“隠して”あるように聞こえるわ」
「さすがはロゼッタ。良く気づいたわね。……そちらの方もあとで話すわ」
そうシーナが返すと、その話を聞いていたミゲロが、
「そのあたりの詳しい話はここに出来ないって事かな」
「あ、ごめんなさい」
「いやいや、訳ありのようだから、仕方がないとは思うな。マサトもそんな感じではあったし。しかし……あの洞窟の怪物や増えた魔物達に関しては……なんとかなりそうなのか? どうもその魔物? 達と関係があるようだったが」
「大本を倒せばどうにかなるのであれば、おそらくは」
シーナの答えにミゲロは少し考えてから、
「危険な現象は多そうだ。しかし、異世界人の特殊能力増幅のものが今回で二回か。前回も剣という武器で今回も同じような物。……確かあれも“なになにカリバー”という名前だったが、異世界人には何か意味があるのか?」
と俺は聞かれた。
聞かれて俺はそれから真剣に考えてみたが……あれしか思いつかなかった。
「……他の国の神話で、聖剣“エクスカリバー”というものがありまして、それに倣って剣の形をしている……のかな?」
「そういった元ネタがあるのか。でも武器にたほうが攻撃はしやすいんじゃないのか? 魔物なりなんなりに突き刺して炎を噴出させればいいわけだし」
内部からの破壊。
強力そうだがえぐいな、と俺は心の中で思う。
だが技としてそういった選択肢があるのだなと俺は理解した。
そこでロゼッタが、
「それでそっちの異世界人のアキラは何を私に望むの? 初めに断っておくけれど、エッチなことはだめですからね?」
「! お、俺はそういったセクハラなことはしないから!」
「そうなの? 色仕掛けでこちらに引き込むのは無理そうね」
そうロゼッタに俺は言われてしまったのだった。
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