第46話 優先順位
黒い箱のような怪物。
これにはロゼッタ達も興味があるらしい。
シーナを追ってもいるらしいあの怪物がこの場所にいる。
一体どうしてなのか?
それは俺達には分からない。
そこでシーナが、
「……この異世界人専用の剣、それがこちら側にあるから、魔物の発生が増えた? というか魔物ってあの黒い箱のようなもの?」
そう呟いたシーナの言葉にミゲロが頷き、
「あの怪物がここ周辺で増えた魔物、という事になっているな。だがその前から普通の魔物もどういうわけか増加していたからな……。どういう意図があるのかが全く分からない。ただ……あの黒い箱のような魔物がここに来て現れたのは無関係とは思えない」
ミゲロがそう呟き、それから周りの様子を見て俺達は道を進み始めた。
周りには音が聞こえない。
そういえばと俺は思い、
「あの黒い箱のような魔物は幾つか違う集団があるのですか? 一つではなく」
「そうだな。確か一回戦闘したが、それよりも数の少ない集団と、多い集団に少なくとも二つは遭遇しているから、あの集団は三つくらいあるだろうな」
「三つも……同時に遭遇、という事はないと」
「そうだな、それはないな」
ミゲロがそう返してきたのを聞きながら、俺なりに考えてみる。
その黒い集団同士は合流しないようにされている。
そういった何かがあるのだろうかと俺が考えているとそこでミゲロが、
「魔王軍の新兵器を実験か何かをしているのかと思ったが、観測をしている様子もない。どうしてそう思ったのかというと、ここにいるあの黒い怪物は、規則的に動いていないようなんだよな」
「自由に、規則性なく動いていると?」
「そうなんだ。おかげで中々外に出あられなくて、ここまで来るのにこれだけ時間がかかった。ただ集団で移動しているから、どれか一つの意思に統率される、というのもあるかもしれないが、それらしいのを倒しても別のものが代わりを務めるだけのようだったんだよな」
「その黒い怪物に優先順位が決まっていて、そして、それをお互いの間で何らかの形で意思の疎通をしている?」
俺が今の話からそう呟くとミゲロが、ようやく納得がいったらしく頷く。
「それじゃあ、幾つも倒していっても、あまり意味はないな。できる範囲で逃げていくのが一番良さそうだ。だが、あの黒い物体、出口に近くなると増えていく気がするんだよな」
そうミゲロが呟いた所で微かに音が聞こえたのだった。
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