第18話 特定の人間を探す魔法

 シーナの探している目的の人物を俺の特殊能力(チート)で探す。

 ただ俺としては、


「俺の能力が“効率チート”なのだから、特定の人間を探す魔法を使わせてみたらどうなんだ?」

「……それも考えたけれど、それだとこの町の結界といったものに引っかかるかもしれない。“概念”といった形だから、ある程度“自由”にそれを設定できるのかもしれないからそれすらもすり抜けて調べられていると考えると……そちらの方で特殊能力(チート)を使ったほうが敵にも気づかれないしいらぬ争いもしなくてすむ」

「なるほど……それでその人物を俺は知らないが、その場合も探せるのか?」


 と、俺は聞いてみる。

 そもそもここは安くて安全な宿を、といった理由で探せたのだ。

 今回のように誰だか分からない人物を探せるのだろうか?


 それとも異世界人というくくりなら何とか探せるのだろうか?

 俺がそう思っていると、


「その人物の名前と能力から探せないかしら」

「特殊能力(チート)ってどうやってみるんだ? ……“ステータス・オープン”で異世界人か見て、そこから特殊能力(チート)をさらに見てその人物がいるかどうかを検索といった所か? それで目的の人物を“効率的”に探すから俺の能力の範囲になるか? それとも魔法を使うのを“効率的”にするといった範囲で縛れるか……どちらにせよ、使えるかもしれないのか」

「そうなると彼の特殊能力(チート)と本人の名前が必要かしら」

「そうだな、そういえば特殊能力(チート)と名前が被ったことは今まであるのか?」


 とりあえず俺は聞いておいた。

 例えば同じような名前の人ばかりが召喚されていたり、その場合、特殊能力(チート)が被っていたら別人を探すことになる。

 そう思って聞くとシーナは首を振り、


「ないわ。異世界人自体が人数が少ないもの」

「分かった、それで能力と、名前を教えてくれ」

「能力は“幻影チート”、名前は宮越真人(みやこしまさと)」

「……俺の友人でそんな名前の人間がいたが、さすがに違うか。今日もさっき会ったばかりだしな。それで、やってみるか」


 俺は小さく呟いてから、それらの情報を基に特殊能力(チート)を使ってみる。

 俺のすぐそばに光の窓が現れて、『検索にひっかかりませんでした』といった表示が俺の目の前に現れたのだった。

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