第4話 少女と魔物との遭遇
こうして元の世界のものとお菓子は見つけたわけだが。
「紙パック入りのジュースと、蓋の空いていないペットボトルが一本、そしてお菓子。食生活が悲しいことになっているな。とりあえずここから移動するか。移動しないで待つのもいいが、移動すれば誰か人と会うかもしれないし、町に着くかもしれないし」
そう俺が判断して歩き出すことに。
でもさらに考えるとこの服装はどうなのだろうか?
目立たないように現地の服装を研究し、購入しておいた方がいいかもしれない。
「そもそもこの世界の異世界人の扱いが、どういったものか分からないからな。突然、“殺せ”とはならないだろうが、というか特定の場所に送ってくれるんじゃないのか? 説明してくれる人もいないし……そういえば出現ポイントがどうのこうの、と言っていたような」
そこで俺は、適当に変な場所に投入されたのだと気付いた。
それってどうなんだと俺は思ったが、
「ここにいてもどうにもなりそうにない。さて、行くか」
というわけで俺は歩きだした。
はずだった。
ちゅどーん
爆発音が聞こえる。
この音は、TVでしか聞いたことがない。
俺はそう思った。
見ると少し離れた場所に土と炎の柱のようなものが見える。
魔法のある世界なので、誰かが戦っているようだ。
巻き込まれないように逃げよう、そう俺が思って道に向かって走っていくと、その火柱はどんどん俺のいる方向に近づいてくる速度を上げた。
「な、なんなんだ一体!」
来て早々、敵と遭遇なんて冗談じゃない、まだ魔法の使い方を知らないぞと俺は焦っていると、
「そこに人がいる、ちょうどいいわ。手伝って!」
突然俺は声をかけられた。
見ると道なりに顔をフードで隠した少女のような人物がこちらに走ってきていて、そう俺に言う。だが、
「俺、魔法の使い方は知りませんよ!?」
「この杖に魔法が幾つかは言っているから、振ればいいわ。私だけの魔力だときつくてね」
そう言って杖を投げられた俺。
木製の杖で碧い石が一つ付けられたシンプルなもの。
見ると彼女の後ろには俺の二倍はあるかのような、羽の生えたクマのような怪物が牙を向けている。
しかもじろりとその怪物は俺の方を見た。
俺も獲物認定されたらしい。
冗談じゃないと思いながら言われたとおりに杖を向けて、そこで少女が、
「“氷の雨”と叫んで!」
「こ、“氷の雨”」
俺がそう叫ぶとともに杖の石に光がともり、同時に杖のそばに一つ、光の球が浮かんだのだった。
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