第81話 眠る

 眠ることが当たり前になった。

 時間があると、眠る…眠る…。


 10時間以上眠る日が増えた。

 何も無ければ眠る。


 夢を見た。

 峠を錆びた自転車で登る。

 途中で道路わきのナニカにぶつかる、自転車にゴムのような何かが絡みつく。

 漕ぐことを諦めて自転車を降りて引き返そうとする。

 振り返ると坂道ではなく、寂れた漁村の暗い路地に立っている。

 僕の脇を猫が走り抜けて、視線の先に犬がいる。


 戻ることも進むことも出来ない。


 そこに立ち尽くすだけの僕がいた。

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