第14話 望まれてた位置

「行きたくない…」

 出勤時間が近づくと、そんなことを呟いていた。

(行かせたくない…)

 僕だって、そう思っていた。


 彼女が僕と逢うわけは、そんな嫌な場所へ行く前に少しだけ笑いたいから…。

 そんな気がしていた。


 僕は、その笑顔すら守れなかった…。

「逢いたいよ…」

 僕は、なぜ彼女に逢いたがった?


 抱きたかった…笑いたかった…僕は彼女に逢って何をしたかった?


「抱きしめたかった…」

 ずっと…ずっと…それはエゴなのだろうか…。

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