「ガンダムUC」 に思うこと ガンダムと二次創作
松浦まさふみ
序文 ガンダムUCに思うこと
初めましての方も多いのでざっと自己紹介します。
自分は 松浦まさふみという漫画家で主に「機動戦士ガンダム」を題材にした漫画を描いていました。
ガンダムUCという小説があります。
アニメ化されたりお台場に設定サイズの立像が建ったりのアレです。
内容は「機動戦士ガンダム(いわゆるファースト 以下 初)」の登場キャラクター遺児(ミネバ・ラオ・ザビ)を担ぎ上げて再興闘争を始めると言った内容です。
自分も「機動戦士ガンダム ムーンクライシス」という同プロットで描いたことがあるので、「遺児は特別なネタなので、いよいよ手を付けましたか」 ぐらいにしか考えてませんでした。 遺児を出すアイデアは以前にも長谷川裕一先生が「機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス」をサイバーコミックスに掲載してました。
プロット重複は明確なのですが、UC連載開始当初は本家の安彦良和氏がイラスト描くこともあり、そもそも「ムーンクライシス」も特殊な漫画連載(後述)だったので何か言える筋合いもないので、オフィシャルに進められる企画にはおとなしくしているのが正解でしょう。
原本小説は見てませんが、アニメ化されてTV放映になるとこちらの手元に届いてしまいます。 お手並み拝見とか思って見ていたら、どっかで見たような場面が次々と出てきます。
何故か 一回目が「 の日」という同じタイトルの付け方で、主人公が救出したのがザビ家の遺児ってのが同じで、同じシチェーションで旧作キャラの引用があって、同じシチュエーションでアニメにないメカ配備状況が合って、同じシチュエーションで襲撃作戦に旧作メカが出てきて、内部からの手引きという同じ方法でヒロインが脱出して、アニメの追加要素では決戦段階で同じ名前のロボットまで出てきて、謎の人物が再興作戦グダグダにしてヒロインが宣言して収束を図るのも一緒です。
演出、作画、デザイン、アニメ制作の仕事は素晴らしいのに渋い顔して見てました。
プロット、シチュエーションは同じでもストーリーの流れは全く違います。
UCは偶然救出した少女がジオンの遺児で、主人公がたまたま重要人物の息子で、父親から受け継いだロボットに乗り込んで、それがニュータイプ殺すロボという設定で、謎の箱探しをすることになって、横恋慕されて、箱の正体が旧作ファンには納得しがたい設定で 主人公は謎世界をさまよう貴種落胤譚。
ムーンクライシスは主人公は軌道上の遊撃部隊の隊員で、救出した少女が同時発生したテロ組織ネオジオン共同戦線の重要人物で、逃亡した少女を救いに行くのがメインストーリー。
このストーリーは並べても同じだとは思いませんが、何故か評価されたムーンクライシスの要点はあらかた移植されていました。
ガンダムの二次創作においては過去知の集合体となることがあるし、同一プロット起点だと似たり寄ったりになるのは仕方ないものです。
しかし、それは類似の言い訳にならないし、避けるか、類似性は排除するのが作家の腕の見せどころなのではと思います。
会社の成果物として発注したアニメシナリオなら分かりますが、個人の作家名で発表するのは違います。
ムーンクライシスも過去作からの引用もあるので、似てる似てると難癖付けるのもかっこ悪いし、新規のビジネスとして成立しているなら阻害するだけなので、黙っていようと思っていました。
さて今度は同作者の「ムーンガンダム」が新連載されるとのこと。
プロットかぶりの次はタイトルかぶりなので、さすがに自分も
関係者の皆さん「機動戦士ガンダムムーンクライシス」の事をご存じでしょうか?
と、お尋ねせねばならないわけです。
少なくとも、一切協力関係にないことははっきりさせる必要はあるでしょう。
面倒くさいですが著作権は親告制で、こちらから言わないと何も始まりません。 無視してかまわない何かとか思っておられるのでしょうか。 こちらも正式ライセンスを通した認証商品です。
「ガンダムだから」「起点が同じなら誰が書いても同じになる」などは法に定められた 著作者人格権の保護をしなくていい理由にはならないと思います。
「ムーンクライシス」が「ガンダムUC」の類似に対して抗議しない場合、商慣習として継続する可能性があるので、何らかの声明は必要であると判断しました。
仮に何らかの理由でムーンクライシスがアニメ化される等があっても、後発である以上こちらが二番煎じになり、最悪盗作のように思われる可能性があります。 昨今のビジネスチャンスである映像化の可能性は潰されたことになります。
ガンダムの架空歴史の中で設定年代が被っているため、こちらの創作行為自体が黒歴史(ターンエーの原点の意味ではなく、世間的な 隠したい過去の意)と揶揄され続け、希薄化は今もまだ続いています。
少々気の早い方は盗作で訴えた!とか思われるかもしれませんが、まだまだその前の段階の 制作経緯に疑問を持っていることを明示するため だとご理解いただきたいです。
まだ何処にも悪意や間違いが無く、納得出来る理由を自分がまだ知らない可能性もあります。
似ているのを知っててやってるのか、知らないでやっているのか。 過去に指摘があったかどうかは調べようが無いので、こういった形で公表しました。
自分も人並みの認識能力は持ってるつもりなので「版権元が企画したもの」「第三者が創作したもの」の区別はついてます。情報整理も含めて後から最終版が出て、整合性上無かったことにされる。というのは理解しています。オフィシャルには逆らいません。
しかし、今回は作家名で発表されていますので「過去に著作物として発行したものと類似する」は別問題だと思うのです。
仮に企画が版権元発で「アニメのガンダム」という包括的ライセンスを受けるにしても、「全く同じプロットがある」場合は指摘してしかるべきでしょう。
投稿系も含めかなりの重複プロット作品が増えていますが、自分の知る限りは、大半の作家が引用元や影響先を明らかにしています。 創発の上流下流を明示せず 自分の創発と誤認させる行為は 一般的に盗用と見なされます。
通常はビジネスピークでのトラブルを避けるために、何らかの手を打つものです。
わざわざ同じ設定でスタートさせる必要はあったのかさえも疑問です。
「ムーンクライシス」はバンダイがらみの出版物なので、使ってやろうという気持ちあれば、ゲームや模型はオールセーフで自由にやって欲しいのですが、練って作った創作内容を踏みつけられるのは別の話です。
もし今まで「ムーンクライシス」を全く知らずにいて偶然というなら、今はどう思うのか気になることです。 先に出されたものをドヤ顔で出して赤っ恥をかく経験は「アウター」で自分もやらかしましたのでお互いさまのご愁傷様です。
二次創作は一次創作権利(ライセンス権)に包括的に帰属する。 これはなんとなく漠然とそう考えているだけで商慣習にはありません。 破棄同意契約書にサインした覚えもありませんので、第三者が「そういうことになっていると思い込んでいた」は誤解です。
「二次著作物であっても創造性のある部分は、著作権上保護される」と考えるのが当然で、過去にもそういった例もあります。
日本的な商慣習に照らし合わせるなら、創発と誤認させないよう、引用元明記ぐらいのことはあっても良いと思うのです。創作の遺伝子は直系ではないので、後進者が出典を明示するのは文化の先祖供養だと思ってます。 「宇宙世紀 世紀末もの」ゾーンでこちらも取り上げられてもらえれば、むしろ大歓迎だったでしょう。「 出自が違うので重複部分があります」という説明があれば済む話です。
自分は、事前に同じアイデアがあってもフェアユースで使える段取りが必要だと思います。でないと後進の創作が著しく制限されます。これは早急に整備の必要と考えますので、是非整理して欲しいと願います。
今回は事前に連絡があれば”過去に類似作がある場合は、創発時期の誤認が無きよう明示してください”のぐらいの申し入れで済んだような案件です。
「ムーンクライシス」はアニメでは描きづらい世界情勢、地球連邦の構築も交えて貧困問題。リベラル派との拮抗、テロ闘争など交えて、冒険小説的な「意思を持った人間達の戦い」を描ききった自負があります。 25年たってかなりリアルになってきた部分もあります。
ガンダムには表向きの世界と、現実の世界があります。
表向きは「公式年表」見解。 現実にはそこに乗らない膨大な創作物の影響です。
商業として世界観を整理するのは結構ですが、過去にどのような創作の経緯があるかは明確にしても良いと思うのです。
自作だけではなく、ガンダム二次創作の再販再利用されない「無かった扱い」はかなりの分量です、これから先も それぞれの作者の著作者人格権が適正に保護されることを願います。
(ガンダムUCも、いつかクレジットされることも無く都合良く上書きされ他人名義の新作が出るという、同じ眼にあえば私の心境が分かることでしょう)
本人の思い込み補正もあるので公平に「ムーンクライシス」を見てください(宣伝)。些細な類似を騒ぎ立てているだけかもしれません。
ムーンクライシスには軌道上配置のZ部隊とか、再興作戦失敗からたたみ方などなどが見所です。(流通在庫が無かったら再版要望出してくださいね![重要])
粗雑なおっさんとニュータイプ少女の組み合わせの「アウターガンダム」は電子書籍発売中です。 クインマンサタイプがどさくさに紛れて出てくるのは「機動戦士ガンダムReon」。
ガンダムのタームやら設定を 中学生ぐらいに分かるよう咀嚼再検証した「へりくつ探検隊」は「MSサーガ」(アンソロジー単行本 全10冊)に掲載されていますよ!
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