詩集 心の輝き

仲仁へび(旧:離久)

―箱庭に生きる少年―



 音を立てて、今壊れた。

 全ては実験だったのだと君が言った。


 そこはよくできた模型の世界だった。

 全ての物が偽物で、底で起きる全ては台本通りの予定調和だった。


「――貴方が感じる幸せ 貴方が得た経験 貴方が創り出した創造物」


 それらは全て他人によって、そうなる様にと選ばされたに過ぎない。


「じゃあ俺は何だ。空っぽなのか、何も無いのか?」


 偽物、偽物、偽物。

 僕がここで、こう言うのも、こう息をしているのも偽物なのだと。

 そう突き付けられた。


「全ては完全なる物語を紡ぐ為に」


 命は部品だった。思い出は情報だった。

 幸せは絶望で、経験と創造物はただの虚無。


「今までの役割、お疲れ様」


 そう言って、君が部屋の電気を消す。

 世界から光が奪われる。


 やがて闇が訪れた。

 深い闇が。


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