草紙

第22話 いつかは

かつては、いつも思っていた。自分は何をしたいのだろうと。

何かをしたいし、成功して多くの人の称賛を浴びたい。

そんな気持ちだけは、あった。

そして、自分にはできると信じていた。

ただ、一体、何をすればいいのか。問題は、そこだった。

飽きっぽい性格なのだろうか、何をやり始めても、最後まで辿りつけない。

その一方で、結構忍耐強い方だという気もしている。仕事では、与えられた仕事をやり遂げるまで、こつこつと真面目にやっていた。

周りから評価されることはほとんどない。給料もさっぱりだ。

自己満足。そう、自分でうまくやれたという満足感を得られたら、それでいいと思っている。

リストラの吹き荒れた時代に、下っ端の自分が生き残れたのは、そのお蔭だと思う。

あなたは、いいように利用されているのよ、とよくあなたは言ってくれた。

人の努力と成果を、あたかも自分のもののように上申し、上層部から高い評価を勝ち取って、出世した者たちがいるというのだろう。

自分には分からない。誰がそうしたのか。

知りたくもない。他人の心の闇など。

ただこつこつと努力を重ねていた。

誰も見ていないし、誰にも気づかれないとしても。

きっと、あなたがいたから、頑張れたのだと思う。

今は、そんな気にならない。

毎日がただ過ぎていく。

それでいいはずなのに、どうしてまた昔のことを思い出したのだろう。

あなたのいたところには帰りたい。

でも、戻りたくない場所もある。