第4話 タイムドロップ

時間は止まらない。

過去から現在の一点を通って未来につながる。

逆戻りもしない。

少なくとも、同じ時空の中では。

だから、死んでしまった親や友人、恋人にはもう会えない。

ただ私の記憶にとどまるのみだ。

私が死ねば、その記憶もなくなる。そのとき、彼らは存在しないものになる。

私も同じ。私を知る人がいなくなれば、私はいなくなる。

川の流れとは異なり、時間は同じ速さで、未来と言う時空に向け、進んでいく。

淀みも、滴も存在しない。

堰き止めることもできない。

ときに想う。ただ一滴の時間を取っておくことができたなら、と。

そして、そこにとどまることができたならいいのに、と。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る