戦闘員、派遣します！

プロローグ

「……もう一度、あなたの出身国を聞いてもよろしいですか？」

「日本です。ニッポンでもニホンでもジャパンでも、お好きな呼び方でどうぞ」

「……すみません、日本という国を、わたくし存じ上げていなかったもので……」

「無理もないです。極東の小さな島国ですから」

「ええと……。それで、この履（り）歴（れき）書にある、あなたの以前勤めていらした『秘密結社キサラギ』という会社は、一体どんなところだったのかを伺（うかが）っても……」

「秘密結社なので秘密です」

「そ、そうですか……。え、ええと、では、この履歴書の特技の欄（らん）にある、……全方位型回転バッソー……？　というのはなんでしょうか？」

「必（ひつ）殺（さつ）技（わざ）です」

「……必殺技？」

「はい、俺の必殺技です。この技で、数多（あまた）のヒーロー達を地に沈（しず）めてきました」

「……ヒーローっていうのはなんなのでしょうか？」

「敵です」

「そ、そうですか……。すみません、先ほどから質（しつ）問（もん）攻（ぜ）めで……。ええと、つまりあなたは戦える人、という認（にん）識（しき）でよろしいんですね？」

「ええ、それで問題ないです」

「──戦（せん）闘（とう）員やってましたから」