一章 アヤトはただいま成長中です

第3話 アヤトさんは生まれたようです

目が覚めると男と女がベッドに寝ている僕を覗きこんでいた。


男のほうは二十代後半だろうか、彫りの深い顔で銀髪。碧い目でこちらを見ている。


女の方は二十代前半か、ほどよくふっくりした顔で黒髪。柔らかく微笑んでいる。


父親と母親だろうか。それにしてもすごく眠い。


「~~~~~~」


何か話しかけられているが何を言っているのか分からない。


そのまま眠りに落ちてしまう。


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目覚める


話しかけられる。


寝る。


再び目覚める。


繰り返していると、ようやく少しずつだが言葉が分かるようになってきた。


やはりあの二人は両親だったようで、父親の名はオスカー・フォンターニュ。母親の名はメアリー・フォンターニュと言うらしい。

やはりまだ発音するのは難しく、名前を言おうとしても

「お~あ~、えい~」

となるのだが。


そして、僕はアヤトと名付けられたようである。

……えっ、なんで???

神様が何かしたのかな?


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このところ、ハイハイで移動できるようになり家の中のいろんなところを見て回れるようになった。


魔法、魔法、はやく魔法が使いたい。魔法の練習用の本とかないかな。


そう思って家の中を探索するが、やはりそんなに簡単に見つかるわけもなく、母親に捕まって今日の探索は終了。


初めての探索の時に、置いてあった本に手を伸ばしていたところで捕まったので母は僕が本に興味があると思ったらしく、毎晩読み聞かせをしてくれる。


そういえばあの本あれ以来一度も見かけないな。


今夜も母が読み聞かせをしてくれる。だけどやっぱり絵本か。


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ついに書庫を見つけたぞ。


まさか階段の上、二階に書庫の入り口があって二階から地下まで続いている書庫だったとは……


階段をのぼる技術を磨いているうちに立って歩けるようになって、両親が喜んでいたけど。そんなことはどうでもいいよね。


どこに魔法関係の本が置いてあるか分からないし、とりあえず一番手前の本を読んでみようかな。


「……」


字・が・読・め・な・い


もうちょっと母の読み聞かせをしっかり聞いておくんだった。


あと絵本に出てこない字もあるから夜に聞いてみよう。




「もういっこ、じ。」


「はいはい、今日はもう遅いからこの本だけでおわりね。」


ぐぬぬぬ、伝わらん。

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