2くち目

それは、アタシがまだ5歳の時だった。



突然、アタシの後頭部に口が現れたのだ。



しかも、空腹の権化か体現者の如く、何でも食べる。



あ、勿論人間は食べない。



両親は慌てて病院の医師に診せた。



その診断の結果、病名が判明した。



その病名は「フタクチ病」。



身体の一部に第2の口部が現れ、食べ物を摂取する病だ。



そして、宿主の意を介さず、言語を使うという奇病の中の奇病。



当然治療法なんて無く、アタシは一生この二つ目の口と生涯を共にしなくちゃならない。



まぁそれでもこの10年、何だかんだでどうにか生活している。



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