とても詩的な短編ですね。
書き出しの鮮烈さも印象的です。

ある種俗世からは切り離された超然とした雰囲気を持つ女に心惹かれる青年。

青年は女に雨という偶像的なイメージを当てはめる訳ですが太陽の照り返しによってそれが崩れてしまう。

そこには雨という女性の見せる一面と、多面性の反射、青年の心の機微が描かれている。

青年の理想の投影とそれが裏切られるという構成にクローズアップすると、これは青春文学だという見方もできそうです。

雨のような女という言葉も面白いですね。雨は、陰鬱でもあり、清冽さ、気まぐれさも表すようで、女のある一面を表現するのにぴったりな気がします。

なんだか青春時代を思い出します。
知らない誰かを見て、何かを思い出したり。かといって何かがあるわけでは無いのですが、甘酸っぱさと穏やかな気持ちになれた気がします。