第18話 絵本の中の朝のひととき

長雨にさらされた

庭の花や葉は

曇り空の今朝になっても

あますことなく

びっしょりと濡れている

私は小さな庭の真ん中に

愛犬を抱いて立っていた

いつまでも立ちすくんでいた

いつまでもこうしていたかった

あまりに静かで

優しくて

小さな葉っぱすら

乾いた心を

抱き留めてくれるようだったから

私の心は束の間潤い

いつの間にか

空に手をかざすように

伸びやかな心になっていた

愛犬が腕の中でもぞもぞ動いた

気持ち良いね

話しかけたら私を見あげて

その後ずっと私を見続けていた

まだこうしていたかったけれど

ゆっくり歩いて

部屋に入り

淹れ立ての珈琲を飲みながら

いつまでも庭を眺めていた

愛犬も窓のそばのお気に入りのクッションの上で

庭を眺めている

穏やかな心でいられることに

感謝しながら

あの蕾はもうすぐ開くね

ピンク色の花かな

・・・なんてひとり言。

絵本の世界に住んでいるような

朝のひとときの喜び!

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