君は臆病者だよ。でも…。

しょしょしょ、

◯これはいったい。

もーん、もーん、もーん。

黒い。目の前が黒くなってゆく。

雲みたいな黒いモコモコが

俺の目の前を埋め尽くす。

「邪魔だ、どけ!」

そうやって、両手でめいいっぱい振り払うのに、

どんどん膨れ上がっていって

俺がほんのさっきまで見ていた公園の、

のどかな景色を飲み込んでしまった。

そんな中、モコモコの奥深く、

何かがピカッと一瞬だけ光る。

追いかけようとすると、すでに消えていて、

この辺で目が覚めた。

光の正体はなんだったのだろう。

こんな夢を見たものだから、現実でもたまに、

視界が眩むような錯覚を起こす。

登校していても、教室にいても、屋上にいても、

下校していても、たまに見えるんだ。黒いのが。

医者に行ったら飛蚊症がどうとか、ストレスが

どうとか言われ、軽い薬をもらっただけだった。

まあ、そんなところ。

おかしいな、まったく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る