異世界娼館高額バイト - 地味っ娘JKの◯コキ奮闘記 -

糾縄カフク

スワロウフェイル

 あれ、ボクってば何をしてるんだろう。

 少女はそんな事を考えながら、ある種工程化した作業に身を委ねる。

 

 あっちの世界では考えられない程に扇状的な水着を着て、とろんとした表情で投げかけられる、媚びへつらうような熱っぽい視線。そんな、鏡張りの部屋に映る自分の表情が余りに可笑しくて、少女はさも傍観者のようにその光景を見つめていた。


 焚かれた香が理性を吹き飛ばし、自分というパンドラの箱にはこんな淫魔が潜んでいたのかと自嘲するのも良い所、押し寄せる快楽にびくんびくんと腰が震え、四肢の穴の至る所から体液が吹き出すのを感じる。


 かき消された朧げな記憶の便りによれば、自分は向こうの世界では地味で真面目で大人しく、クラスの影めいて目立たない存在だった筈だと思いを馳せる。では而して、この醜男の前で恥じらいも無く嬌声を上げる雌豚はどこのどいつだろうと省みるも、やはりこのはしたない痴女も間違いなく自身なのである。




 盛大に果てイキ狂い、男が去った室内に横たわる少女は、呆けた表情で天井を眺め、弛緩した笑みを浮かべている。その手にはこの数時間で手に入れた、大十枚の諭吉を握りしめながら。


 ああ。そうだ、これの為だったなと、しわくちゃで頼りない紙の触感を五指に感じ、少女は口元に付いた白い液体を舐め取って笑う。この一枚わずか二十円の紙くずの為に翻弄される人生が余りに腹ただしい所感ではあったが、今ならば違う。こうして少し自分を演じるだけで、ホップ・ステップで人生をイージーモードに切り替えてくれる魔法の力。それこそがこのたかが紙切れの正体なのである。ならば成そうではないか。命短し恋せよ乙女。しかして先立つモノはいつも金なり。株も春もカンパニーも、売れるべき時に売る事こそが人生の肝要なのだ。げに真理は常に、神が不徳と名指す所にこそありと。少女は一人そう頷くと、ふらふらと立ち上がって浴室へと足を運んだ。




 夢のようだが、夢に非ず、うつつで非ざるようで、うつつそのもの。これはとある地方の女子高生が、偶然にも手にした異世界への切符と、そこで得た人生の転機の物語。

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