『団扇を動かしたのは、僕!』
怖いものが苦手な私の勝手な妄想
実は団扇は齢百年を超える付喪神で……
置いて行かれた付喪神はえいっと一声。すると団扇の柄から可愛らしい手足がにょきにょきと生えてきました。
大丈夫。
何回も繰り返したので、何処に居ればお迎えが来るのかはちゃんと分かっています。付喪神は顔を巡らせて祠を見上げました。
3メートル。ちょっと遠いけど、頑張ろう。
付喪神はとてとてと駆けてゆき、よいしょ、よいしょと高い台にもよじ登りました。
ふう。これで安心。後はお迎えを待つだけです。
暫くすると話し声が聞こえてきました。団扇に手足が生えていたら、きっとびっくりさせてしまいます。付喪神はぶんぶんと手を振りたいのをぐっと堪えて手足を仕舞い、じっと待ちました。
ところが。
うわあああああぁぁぁぁっっっ
ぎゃあああああぁぁぁぁっっっ
ただの団扇に戻った付喪神を見て、子供たちは泡を食って逃げ出してしまったではありませんか!
え? 何で?
付喪神は何が何やら分かりません。
おーい。僕はここだよー。
一緒に連れて帰ってよぅ。
ねえ。何でーーーー?
月に照らされた祠に、付喪神の嘆きが響いたとか響かなかったとか。
結局翌朝楠さんが迎えに来てくれるまで、付喪神はひとり寂しい一夜を過ごしたのでした。
おしまい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます