第22話 魔法
「何故、そんなに魔力を出し続けておる?」
俺は竜人たちと暮らしていく上で、防御力をあげるために魔力を出し続けている事を説明した。
「たしかに魔力自体にそのような効果はあるじゃろうが、非常に非効率なやり方じゃ。魔法とは本来、効率的に魔力を目的の用途に変換するものじゃからな。魔法を発動せずに目的を為そうなど、非効率にもほどがあるわ。」
「しかし、私には魔力結晶をもちませんし、言葉が分からないので詠唱することもできません。」
「はて?・・・ふむ。そういうこともあるかもだな。まあよい、詠唱に頼らずとも魔法を発動することはできる。」
1人で納得しているようだった。ただ、俺は最後の言葉に食いついた。
「詠唱しなくても魔法を使えるのですか?」
俺は身を乗り出した。
「待て、待て、慌てるな。お主は何属性の魔力が使うことができるのじゃ?」
「一応、火、氷、風、土、雷、水、光、闇の8属性です。」
「全属性扱えるのか。それは珍しいな。まー、それなら、わしが教えてやれば、詠唱なしの魔法を使うことができるやもしれん。」
それを聞いて、
「師匠と呼ばせてください。是非私に魔法を御教えください。」
必死に頼み込んだ。
「我の子孫を救ってくれた事もあるしのぅ・・・我も魔王が来ない限り暇じゃからな・・・良いだろう、お主を弟子にしてやろう。」
少し師匠と呼ばれたのが、満更でもなかったようだった。
「では、どのようにすれば、魔法を使うことができるのでしょうか?」
「まずイメージすることが大事なんじゃ。その魔法がどんなものなのか。どのような効果があるのか。それをはっきりさせなけらばならない。そして、それにあった属性の魔力を、誤差なく混ぜないといけない。このようにな。」
師匠の手に3種類の魔力が集まったかと思うと、大きな炎が現出した。詠唱もしていなかった。それに手から発動したという事は魔力結晶を必要としていなかったのかだろうか。
「師匠は今魔力結晶を使わずに魔法を発動したのですか?」
「そうじゃ。魔力結晶なしでも、このように数種類の魔力を操ることができれば、魔法を扱うことができるのじゃ。この炎の魔法を出すのに、火の魔力を全体の80%、風の魔力を13%、光の魔力を7%に調整すれば出すことが可能じゃ。誤差は1%未満でなくてはならんがのぅ。」
そう言って、右手の炎をかき消した。
「なるほど。私も試行錯誤してる時にいろいろな、魔力を同時に出したりもしていましたが、比率が正確でなかったという事ですね。」
「それもあるが、イメージの方が大事だろう。ただ魔力を正確に混ぜ合わすことができても、何の魔法を使うかをイメージできてなければ、使うことはできん。試しに先ほど我が教えた比率で魔力を混ぜてみよ。」
俺は従った。
『確か、火は80%、風は13%、光を7%だったな・・・』
手の中で魔力量を調整した。
「ふむ、なかなかうまい具合に調整できているな。ここからが難しいんじゃが、炎の質感、温度、その破壊力、その形状、具体的にイメージして、その魔力を炎に変えてみよ。」
俺は言われたとおりやってみた。
すると、先ほどみた炎が手の上に作り出すことができた。
俺はこの世界に来て初めて魔法を使えることができた。
「やりました。師匠。できました。」
「むぅ。こんなにすぐにできるとは・・・では、これはどうだ」
そう言うと、師匠の手から黒い炎が出現した。すさまじい力を感じた。
「この魔法の比率は、炎70%、闇12%、風11%、雷5%、光2%じゃ。やってみろ。」
俺は言われたとおりやってみた。
魔力の調整を確認して、イメージしたが魔法は発動しなかった。
「そうだろう。そうだろう。本来はイメージすることはかなり難しいことなのよ。その辺のことを我がしっかり教えてやろう。ワーハハハハハ。」
黒い炎見ても凄そうだとしか思えず、どのようにイメージすればよいか分からなかった。
「具体的にはどのようにすればいいでのですか。」
「そうじゃな。まずは、その全身を纏ってる魔力を消して、
身体強化と魔法防御が黒い炎の魔法にどうつながるか分からなかったが、その他の魔法を教えてもらえるなら俺にとっては何でも良かった。
こうして、俺は身体強化と魔法防御の魔法のイメージの仕方と魔力量の配分調整の仕方を教えてもらった。
「ふむ。こちらは、ずっと体を覆って守るイメージができていたから、簡単にできそうじゃな。」
俺は、教えてもらって実践してみると、身体強化と魔法防御をなんなく発動させることができた。
驚いたことに、魔力の量は今までよりも少ない量なのに、明らかに強度があがったのを感じた。
「その魔法は重ね掛けしたりもできるから、工夫して使うと良い。ただし、2重、3重に使っても2倍、3倍に力が大きくなるわけじゃないのに、魔力量は倍、倍に増えるから気を付けるんじゃ。」
俺は2重に身体強化をかけてみた。
「
すごい力を感じた。
「では、これで準備はできた。念のために、
俺は言われる通りに、魔法を自身にかけた。
「魔法というものはイメージするのが、なかなか難しいもの。一番手っ取り早いのは、自分で喰らってみるのが一番じゃ。そうすれば、どのような効果があるのか、どんな威力か、どんな質感か、様々な事がすぐに理解できるからのぅ。では、行くぞ。」
『えっ、えっ、ちょっ、』
ちょっと待ってという間もなく、黒い炎が俺めがけて飛んできた。
激痛が走った。左肩から先の感覚ないと思って自分の左手を見ると、そこにあるはずの左手、そしてその上の腕が消し飛んでいた。
『えっ、俺の左腕が吹き飛んだのか・・・こんなことになるなんて・・・』
俺は何が何やらよく分からなかった。
「そして、これを飲んでみろ。」
呪いを治した紫色の液体の入った瓶を手渡された。
それを飲んでみると、俺は光に包まれて、失った左腕が生えてきたのだ。
「この薬は怪我なども治すことができるように作ってある。では、もう一度、魔法を発動してみよ。」
俺は黒い炎をイメージして、魔力を調整した。
すると今度は黒い炎の魔法を出すことに成功した。
「フハハハハハ。やりおったな。できなければ、何度か喰らってもらうつもりじゃったが、筋がいいな。教えがいがあるわ。」
『えっ、なんか今とんでもない事言ったような。毎回死にそうになるってこと・・か?』
こうして、俺は師匠との地獄の修行の日々が始まった・・・
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