第4話 ギルドの日常
……………
…………………………
…………気まずい。
……激しく気まずい。
家に帰っていつも通りTFLOにログインして、ギルドメンバーリストを見てみたらセルフィッシュさんがログインしていて他のメンバーは誰もいない。
俺は今、セルフィッシュさんが居るであろうギルドハウスの前にいる。
俺がログインしたってことはギルドメッセージとして出るからセルフィッシュさんは気づいてるんだろうけど……。
とりあえずハウスに入ったら挨拶をするか……。
俺は意を決してハウスの
画面が切り替わると、そこにはいつも通り
Sky:おはよう
Selfish:おっす
いつもと変わらない挨拶。
いつも通り挨拶をしたけど、目の前に居る
セルフィッシュさんはなおも無言で
…………気まずい。
やっぱり気まずい。
何を話せばいいんだ?
そもそもセルフィッシュさんとして話をすればいいのか、長田さんとして話をすればいいのかもわからない。
セルフィッシュさんが
Selfish:今日はありがとう
製作が一段落したところでセルフィッシュさんの方から話しかけてきた。
今日は――ってことは長田さんとして話せばいいのかな?
Sky:それはこっちが言わなきゃいけないことだよ、ありがとう長田さん。わざわざ補習見てくれて
Selfish:でも、あたしが余計なことしなけりゃちゃんと出来てたかもしれないのに、あんなことになっちゃったから
う~ん、たしかに長田さんは仲のいい相手とならふざけ合ったりすることもあったけど、誰でも彼でもあんなことをするような人じゃなかった気がする。
Sky:長田さん、なんであんなことを灰倉さんにしたの?
………………
しばらく沈黙が続く。
Selfish:それはあいつが他人に関心がないなんて言ったから、ちょっとからかってやれば何かしらの感情を持って、あたしに対して関心を持つんじゃないかと思って
Selfish:それは憎しみっていう感情でもかまわないし、泣いたりでもすれば素直にこっちが謝ろうとも思った
Selfish:結果あいつを怒らせはしたけれど、その時点で関心を持たせるまでに至ることが出来たのかはわからない。それをするために奥原を利用したのは本当にごめん
長田さんは一つ一つ、言葉を選んでいるのか全部言い終わるまでには結構時間がかかった。
Sky:ああ~、いいよ、俺怒ってないし
長田さんのあんな姿とかこんな姿とか見られてドキドキしっぱなしだったけど
Selfish:あのせいで奥原、会計に立候補しなきゃならなくなったのに、それでも怒ってない?
あ、そうだ、俺会計に立候補しなきゃいけないんだった……。
あの後の出来事が強烈だったからすっかり忘れてた……。
Sky:大丈夫。どうせ俺なんか当選しないだろうし、立候補だけすればいいんだから何の問題もないよ
Selfish:ならいいんだけど
Sky:それより長田さんが会長に立候補とかびっくりしたよ
Selfish:ああ~、あれ? あたしも当選なんか出来ないだろうなと思ってるけど、やってみて損はないかなって。せっかく立候補できるのにしない方が多分後悔するだろうから
長田さん積極的だなぁ。
さすがうちのギルドの頼れるマスターでもあるだけのことはある。
Sky:でも灰倉さんも立候補することになっちゃったみたいだけど……
Selfish:あれは予想外だったけど、結果的にすごく良かった。あれであいつはあたしのこといやでも意識することになったから。結果あたしに関心を持つことになったから
Sky:あっ、なるほど
そうだよ、他人に関心がないって言い張ってた灰倉さんが長田さんに対抗意識を持つようになったんだ。
Selfish:他人に関心を持たないやつなんていないはずだよ。関心があるのに何らかの理由をつけて自分からシャットアウトしてる。あいつも多分そうなんじゃないかなって
ああ、なんかわかる気がする。
恥ずかしかったり嫉妬だったり、なんらかの感情が邪魔してそういうことがあるかもしれない。
Sky:銘のことで他人を気にしなくなったって言ってたけど、あれが関係あるのかな?
Selfish:どうなんだろう。たしかにマケで相手の名前が気になって同業者がむかついたりはあるけど、それと同じことをリアルにも持ち出してるとしたら、どんだけあいつはゲーム脳なんだ
う~ん、ゲーム脳とか関係あるのか? それは?
Selfish:つーかあいつはあたしより先に奥原に対して関心を持ったみたいだったし
Sky:え? 俺に? 俺、長田さんみたく灰倉さんに嫌われるようなことなにかしたかな……
う~ん、あのやりとりの中でそんな感じ一切なかった気がしたけど。
Selfish:ああ、ごめん。たぶんあたしの勘違いだと思う。気にしないで
とは言われても気になるから今度会ったときは一応謝っておこう。
Sky:あと、俺のことスカイだって気づいた後、長田さん自分のことセルフィッシュだってなかなか名乗らなかったけど、あれはなんでなの?
Selfish:それは聞くな
Sky:うん、わかった
急に長田さんがセルフィッシュさんに変わった気がして、なにやら言いしれぬ圧力を感じた俺は即答した。
『ナガタ』って呼ばれてなぜ怒ったのかも聞きたかったけどとてもじゃないけど聞けなさそうだな。
Selfish:でも、奥原がお前だってわかった時は本当に驚いた。だってスカイまんまだったんだからな
ここからはセルフィッシュさんとして接すればいいのかな?
Sky:俺の方が驚いたよ。ミレニアムさんもセルフィッシュさんもまさか俺のクラスメイトだったなんて
Guild Message:Jillがログインしました。
Sky:しかも長田さんだよ? いつも見ている姿とぜんぜん違うんだから驚くに決まってるよ
Jill:おはよ~
Sky:おはよう
Selfish:おっす
Jill:あれ? 長田さんっておさP? スカイ、おさPのこと見たん? どこで?
しまった。俺の発言がジルのログインとかぶってた。ギルドチャットじゃなくて
Sky:え~と、うん、なんか普通だな~って。どこにでもいるような普通のおっさんだな~って思って
咄嗟に嘘をつく。
Jill:へ~、まあそんなもんやろね。ああいう放送に出てたりするとセレブってイメージがあるけど、たとえセレブであったとしても実際に会ってみると意外と普通だってこと良くあるし
Sky:セレブ? いや、あまりおさPにそういうイメージはないかも
Selfish:セレブってのは有名人とかスターとかそういう意味だ。日本人がイメージするような金持ちとかナントカ姉妹のような意味は本来ない
Sky:ああ、そうなんだ
Selfish:実際そうだったら良かったんだけどな
ん? セレブって意味が?
俺がおさP見たってことが?
まあなんにせよ咄嗟についた嘘でなんとかうまく凌げたかな?
そういえばジルに言われて初めて気がついたけど、長田さんもおさPも同じ長田だ。
多いのかどうかわからないけど、普通の苗字だし別におかしいことじゃないからそんなこと全く意識してなかった。
ジルがハウスの中に入ってくると
JillはSkyに抱きついた
JillはSelfishに抱きついた
いつも通り俺たちに
Jill:ねえ、ところでセルフィー。日本のJKのファッションのトレンドってどうなん?
ぶはっ! なんて質問を。
しかもなぜそれを
Selfish:何でそれを俺に聞くんだ? 俺なんかよりスカイのがよっぽど詳しいんじゃないか?
いや、俺よりもよっぽど
Jill:う~ん、なんとなくセルフィーのが知ってそうかなぁ、って思って。でもよく考えてみたらスカイは学生さんなんだからそっちのがよっぽど詳しいよね?
なんだ? その勘は?
野生の勘か何か? それとも何かの能力者?
Selfish:え? なに? ジルはスカイが学生だって知ってるの?
Jill:うん、昨日言ってた
Selfish:お前な、ギルド内だからまだいいとしても、あまり自分のこと喋ったりするなよ?
Sky:あれはついうっかり……。いえ、ごめんなさい……気をつけます
このうっかりを本当に気をつけないと。
さっきはごまかせたし、ジルだったからよかったけど、他の人に長田さんのことをもしうっかり喋ったりしたら大変なことになるかもしれないし。
Selfish:てかなんでお前がそんなこと知りたがっているんだ?
Jill:日本のJKカワイイやん? うちも真似したいかな~、って思って
実際のジルがどんな容姿かはわからないけど、この目の前の猫娘が
Selfish:そうか、だったら俺がとっておきのところを紹介してやろう
なんだ、
セルフィッシュさんはとある
Jill:ありがとうセルフィー、見てみるね
俺も見てみるか……。
チャットウィンドウのURLをクリックするとブラウザにその
――――え~と、俺が見てもよくわからないんだけど、コレって
ルーズソックスに
なんかちょっと古いような気もする。
Jill:すごい! すごいよセルフィー! うちがやほーでググってもこんなとこ出てこなかったよ
Sky:いや、ジル。セルフィッシュさんに騙されてるよ。たぶんやほーのが正しい
Jill:え? そうなん? こっちはこっちで結構カワイイよ?
Sky:少なくともトレンドではないと思うけど?
まあ自分で
Sky:セルフィッシュさんも駄目だよ、嘘教えたら。からかったりするの今日の出来事で懲りなかった?
Selfish:ああ、そうだな。すまなかった
Jill:ん? うちがくるまえなんかあったん?
Sky:ちょっとね
Selfish:ああ、たわいもない出来事だ。気にするな
実際は俺の人生最大かってくらいの事件だったけど。
その日は俺たちのログイン中にカテドラさんはログインしなかったが、日付が変わる頃までそれぞれ
……………
…………………………
………う~ん、どうしたものか……。
昨日の今日だが、まさかこんなことになっているとは……。
今日はログインしたらセルフィッシュさんは居なくてジルがログインしていた。
いつも通り挨拶をし、ハウスに入ったら奇妙な物体に
いや、それがジルだってのはさすがにわかってるけど、
服装も日本の
そう、昨日セルフィッシュさんが見せたあの
何より俺を困惑させているのは、ジルが俺に
俺ファッションに
なんて答えればいいんだ?
Sky:う~ん。いいんじゃないかな?
だめだ、今はこれが精一杯。
実はあまりいいと思ってないんですけど。
その顔、実は怖いんですけど?
Jill:よかった。普通の学生さんのスカイがいいって言ってくれるなら多分大丈夫だよね?
あ、これはまずい。ちゃんと本音を言っておかないと。
Sky:ファッションのことはわからないけど、服装は普通に可愛いと思うよ。ただちょっと顔のメイクがきついかなぁ。もうちょっと抑えた方が俺はいいと思うよ
Jill:わかった、ありがと~、スカイ
JillはSkyに抱きついた
再び俺はジルに抱きつかれる。
俺がこのゲームを始めて、このギルドに入りたての時は、たとえ
慣れって怖いし悲しいなぁ、とつくづく思う。
外国の人ってかオーストラリアの人なら
もしそうだとしたら外国の人にとっては
Sky:きのうJKのファッション聞いてたのはゲーム内で着るためだったんだね
Jill:リアルでも着たいなと思ってるけど、こっちで試してみようかと思って
やっぱり
この
Guild Message:Selfishがログインしました。
Selfish:おっす
Sky:おはよう
Jill:おはよ~
セルフィッシュさんがログインし、いつも通り挨拶をする。
さて、セルフィッシュさんはこのジルを見てなんて言うのか。
セルフィッシュさんがいつも通りハウスに入ってくると
JillはSelfishに抱きついた
いつものようにジルは
そしてセルフィッシュさんはそのままハウスの奥のいつも
スルー。
セルフィッシュさん、華麗にジルの
諦めきれないジルはセルフィッシュさんのそばまで行って踊り《ダンス》の
Selfish:ジル、すまんがそこで踊られると邪魔だ。集中できない
Jill:ねえセルフィー、なんか言うことない?
ジルはしびれを切らしとうとう口に出す。
Selfish:ああ、昨日採ってきてくれた素材ありがとうな。また暇なとき頼むよ
Jill:そうじゃなくて、見てわかんないかなぁ
Selfish:なんだ?お前が黒くなったことかか?
Jill:そうだよ。どうかな? これ
Selfish:お前がいいと思えばそれでいいんじゃないのか? 俺がどうこう言うものじゃないと思うが
Jill:はぁ、セルフィーはドライやねぇ……
セルフィッシュさんの製作の手がしばらく止まると、とある
Jill:あれ? これって?
俺もそれをクリックして確認してみたけど、その
やっぱりセルフィッシュさんも昨日のことは申し訳ないと思って、ちゃんとした
Selfish:俺の知り合いのJKがそういった格好をしてるんだが、今のトレンドはそんな感じなんじゃないかな
知り合いのJKって、いや、それは自分のことじゃないんですか?
Jill:ああ、そうなんだ。ありがとう、セルフィー
JillはSelfishに抱きついた
セルフィッシュさんが
だからちょっと
この日は俺がログインした時にはカテドラさんがログインしていて、
ギルドメンバーリストでIDの名前を見てみると、どうやら難易度は
TFLOの
俺が手を出せるのは、せいぜい
カテドラさんがIDを攻略してる間に、他の二人のACメンバーも相次いでログインしてきた。
カテドラさんがまだID攻略中だが、ACメンバーが全員同時にログインしたのは久しぶりだ。
その間三人はいつも通りたわいもない話をしながらそれぞれの活動をする。
しばらくすると、カテドラさんのID攻略が終わったようで挨拶をしてきた。
Cathedra:みなさん、こんばんは
Selfish:おっす
Jill:おはよ~
Sky:おはよう
Jill:キャシー、インフェルノはクリアできた?
Cathedra:ええ、おかげさまで。欲しい装備はドロップしませんでしたけど
このゲームで大切なのはやはり運。
プレイヤースキルがいくら高かろうが、運が良くなければ目当てのアイテムは
当たり前のことだけど。
Jill:そうか~、うちもいつか行きたいんやけどねぇ
Cathedra:いいですよ。一緒に行きましょうか? せっかくでしたら皆さんも一緒に
Jill:う~ん、うちはラグがあるし、みんなに迷惑かけちゃうといけないからな~
Selfish:俺はみんなで行くならいつでも行ってもいいが、インフェルノは全く行くつもりがなかったから全然予習すらしていないぞ?
セルフィッシュさんですら尻込みをする
Sky:俺はハードですらいっぱいいっぱいだからなぁ
Cathedra:そうですか。今日は職場の同僚や上司などと行ったのですが、その人達とならなんとかなるかとも思ったのですけど
Selfish:とりあえず俺はパスだ。わざわざありがとうな、カテドラ
Jill:うちもいつかラグがなくなったらそのときは頼むね、キャシ~
Sky:うん、いつも気にかけてくれてありがとうね、カテドラさん
職場の同僚って人たちが気になるけど、聞いたらまずいよな。
きっと看護師の人たちとか看護師長とかそういう人たちなんだろうけど。
看護師の人たちはネトゲ率高いってどっかで見た気がしたけど、だとしたらその話は本当だったのかな?
Jill:ところでキャシー、同僚の人たちがそんなにいるのになんでこっちのギルドを選んだん?
おい、ジル! ……っていいのか?
別に仕事の内容こと聞いたわけでもないし。
Cathedra:そうですね、最初に誘われたのがあなた方お二人だったからでしょうか? 抜ける理由もないですし
Selfish:そうか、すまないな。俺たちが一緒にエンドコンテンツ行けたら良かったんだが
Cathedra:いえいえ、謝るのはこちらの方ですよ。私の仕事が不規則なせいで皆さんとご一緒出来ないで
なるほど、あまり考えたことなかったけど、セルフィッシュさんが
あまり時間が合わないカテドラさんと、ラグを気にしてなかなか上位コンテンツに行けないジル。
やろうと思えばマッチング機能もあるから一人でだって
Cathedra:でもせっかく久しぶりに四人そろったのですから、インフェルノではなくてもどこか適当に行ってみませんか?
Selfish:そうだな。どこかハードをランダムで回してみるか
Jill:うん、行こう
Sky:そうしようか、あまり自信ないけど
カテドラさんがギルドハウスに戻ってくると
JillはCathedraに抱きついた
例によってジルはカテドラさんに抱きつく。
カテドラさんは青い光の筋が入る
見た目も非常に格好いい。
セルフィッシュさんが製作で作れる装備は
セルフィッシュさんにパーティに誘われ、それに加わると続けて他の二人も加わり、
俺のメイン
大剣を振り回すのが格好いいという理由だけで決めたんだけど、隙が大きく敵の範囲攻撃に対応しきれなかったり、防御を捨てて捨て身で攻撃しているときに限って攻撃を食らったりすることが多かったりと、
ただ単に俺の
ジルは
元々
カテドラさんがいないときは
ちなみに俺の
あくまで
ただ、それも
というか、
セルフィッシュさんは
ちなみに
Selfish:よし、それじゃランダムで登録するぞ
Jill:準備OKだよ
Cathedra:はい、行きましょう
Sky:こっちもいつでもおk
俺が発言した後すぐに「しゃきーん!」とパーティがマッチングしたときの効果音が鳴る。
俺が一人でマッチング登録をしたときは10分とか、長いときは30分以上待つときもあるんだが、
突入のボタンを
さて、どこになるのか。
Selfish:ルルド火山か、それほど難しいところでもないし、大丈夫だろう
いや、俺ここ苦手なんだけど……。道中噴石が落ちてくるし、最後のボスに
カテドラさんが防御力
Jill:GO!
ジルを始め俺たちはセルフィッシュさんの後についていく。
毎度のことながらジルの挙動は怪しい。
立ち止まっては猛ダッシュ――また立ち止まっては猛ダッシュ――と、俺たちはジルのこの挙動にはもう慣れたが、
その昔あったという「むーたん」の暴れっぷりも何となく想像できる。
道中、空中に浮かぶ
敵は2~3匹程度でかたまっていて、それを
その
そもそも
道中噴石が降ってきて、それも
セルフィッシュさんもそれをわかっているのか、まとめずに一
俺たちはその固まりのモンスターを一つ一つ攻撃して倒していく、途中噴石が降ってくるのだが、それは地面に丸い円の
セルフィッシュさんが一
ジルもたびたび狙われるのだが、危なっかしいながらもなんとか避ける。
道中はボス戦に向けての練習のようなものだから、
セルフィッシュさんの配慮などもあって、ボス戦までは特に危なげもなく行くことができた。
画面が暗転し、
空中に浮いた
太い腕と脚の
不格好だが
いよいよルルド火山のボス、
しかも後半は
Selfish:よし! みんな気合い入れていけ!
Selfishは気合いを入れた。
カテドラさんの防御力
Selfish:いくぞ!
セルフィッシュさんが
戦闘が始まるといきなり俺は
攻撃を仕掛ける前だったから俺は難なく避けることはできたが、ジルが吸い込まれるようにその攻撃を食らう。
う~ん、
その後もちょくちょく
ジルほどではないけど俺も
俺たちが攻撃を食らう度にカテドラさんの回復魔法が飛んでくる。
俺たちを回復しつつ、もちろん
さすが
俺たちがもっと
それでもなんとか
さて、ここからだ。
それを見てみんなが一斉に
「ウガアアアアアアアア!!!!!!」
これは何回か戦った俺たちはわかっていることだけど、初めての場合たいてい落とされる。俺も初めての時は落とされた。
ジルは出足が遅かったせいか
カテドラさんは急いで中央まで戻り、自分を中心に範囲回復をする。
――が、ジルが範囲から漏れる。
そこに運悪くジルに向かって
そしておそらくジルはかわしたつもりであっただろうが見事にそれを食らった。
Jill:あーもうなにゃねん!
「n」が一つ足りない。
翻訳をすると「あーもうなんやねん!」だ。
カテドラさんがすかさず蘇生の呪文を唱える。
詠唱時間がかかるのでセルフィッシュさんへの回復が
それを察してセルフィッシュさんは防御力
俺は攻撃を食らってカテドラさんに迷惑をかけないように回避に専念。
ちょっと攻撃が
カテドラさんの
Jill:ありがとうキャシー
一方セルフィッシュさんの方は防御力
ちょっと
しかしカテドラさんは
なんとか
よし、体勢が立て直ったし大丈夫かな?
俺は攻撃力
「しゃきーん!」と
それを溜めて
よし、
俺は
Sky:みんなの力を俺に貸してくれ!
俺の持つ大剣に光が集まり俺は大きくジャンプをする。
光は
Sky:これでおわりだあああああああ!!!!!!
闇が覆い尽くす
よし! やった!
――かに思われたが
そして
俺は当然全力で
Sky:あ~、あとちょっとだったのに
しかし残りの体力を他のみんなで削りきり
「ウボァー」
そして画面に表示される『COMPLETE!』の文字。
無事クリアだ。俺は落ちたままだけど。
Selfish:よし、みんなよくやった!
Jill:ぐっじょぶ
Cathedra:お疲れ様でした
Sky:おつかれさま
俺は復帰のボタンを
セルフィッシュさんがクリア報酬の宝箱を開けると、武器と防具がそれぞれ一つずつ、それに加えて
Selfish:レアは出なかったけど、まあまあの報酬だな
Cathedra:ここのハードだと装備も素材も型落ちですけどね
いや、型落ちっていっても今出た装備、今俺が装備しているやつより強いよ?
Selfish:そうでもないぞ、ここは最近あまり挑戦する輩が少ないからか、素材は値上がり気味だからな
さすがセルフィッシュさん、経済の動向には
Jill:とりあえずロットしとこう
俺も報酬のアイテムの
そして
Jill:あれ? キャシーはパスしたの?
報酬が
Cathedra:ええ、私には必要のないものでしたから
Selfish:そうか、素材はマケに流せばそこそこの値段にはなるだろうに。俺が買い取ってもよかったし
そして俺たちは
Sky:ジルは今日も範囲喰らいまくりだったね
Jill:うちの画面だと全部避けてるんやけどねえ
Selfish:スカイもなかなかの喰らいっぷりだったぞ。特に最後はマクロも含めて見事な散り様だった
Sky:あれはLBの硬直で動けなかったんだからしょうがないでしょ
Jill:どこかの石油王でもオーストラリアにサーバー作ってくれればうちもラグなしでプレイできるんやろうけどねえ
Cathedra:サーバーの設置にはお金がかかりますからね。設置したとしても維持費もかかりますし、オーストラリアでどれだけの人がTFLOをプレイしてくれるかにもよりますね
Selfish:もしオーストラリアにサーバーができたらジルはそっちのサーバーに移籍するのか?
TFLOは全世界で展開している
違うサーバーで
Jill:う~ん、そうなんよね。移籍するとみんなと一緒にプレイ出来なくなっちゃうんだよね。とりあえず今はそんなこと考えられないし、もしオーストラリアにサーバーできたらその時にあらためて考えるわ
俺もジルのいない
俺が加入してから何一つ変わっていない、ギルドACのみんなとのいつも通りの
そんないつも通りの
毎日欠かさずログインしていたジルが何の前触れもなく突然ログインしなくなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます