日常

「桃太郎や、今帰ったぞ!」

「お帰りなさい、父上。」

「お前が狩った獲物は町の市場で高く売れたぞ。

本当に親孝行で自慢の子だな!…ところで。」


彼の顔が曇った。


「どうやら昨晩も隣の村で鬼が出たそうだ。」

「本当ですか!?…となると、今夜あたりまた鬼が…。」

「おじいさんも桃太郎も、そんなところで話し込んでないで、

昼餉でも食べたらどうです?」

「はい、そうします。」


桃太郎は穏やかで豊かな日々が陰っていくのを感じた。


「ご馳走様でした。」


昼餉を食べ終わるなり桃太郎は何処かへ出かけて行った。


「おじいさん。」


おばあさんは後片付けをしながら心配そうに言った。


「なんだね。」

「桃太郎は、きっと鬼退治に行こうとしています。」

「そうだな。」

「私は反対ですよ。」


「だって」


「桃太郎-彼女は、女の子じゃありませんか。」

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