第6話
【モノクロ写真・4枚目】
白くだだっぴろい部屋。革ベルト付きの手術台。
素裸で手術台に横たわる中国人孤児の少年。
白衣を着た大人の手によって、その子の腕に刺されている注射器。
手術台の床には、いくら拭っても掃除しても、どうしても消えない血の染みが黒く影を落としている。
日本人の少年兵の姿は写真の中に写っていない。
けれど、いる。
窓から差し込む真夏の日差し。
その日差しが、少年兵の影を作り、手術台にいる裸の子どもの体を黒く覆っている。
暗室でホルマリン定着液を使って、この写真を現像した、その技師は、
「麻酔をかけているだけ、まだマシなんだ!!」
という絶叫のような声を聞いた気がした。
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