光堕ちる

 自分が他の天使より特別だと意識したのは最近だ。

 主は私をよく褒め、叱ることなど無かった。

 だから私は特別なのだと──。


「……な、ん……で」


 楽園が遠ざかった。主のいる楽園が、遠ざかる。──ちがうちがう!私が

 主に褒めてもらうために、新しい箱庭を作ろうとした。ほかの天使たちと差を付けようと、箱庭を……。


「お前は悪事を行った。傲慢にも、自分が神になろうとしたのだ」


 ちがう ちがう ちがう! 私は、僕は、主に新しいお住いを与えようとして、褒めてもらうために、、、


「残念だ。主はお前を気に入っていたのに」


 真っ赤な瞳と同じ色が飛び散る。落下していた速度は急速し、地に叩きつけられる。

 翼が折れた音がした。


「ちがう、わたしは、」


 雨のように涙が落ちる。

 折れた羽は地を這う。天の冠は砕け、粒のように飛び散る。


「反省しろ、使


 私は、ただ、主に褒めてもらいたかった。箱庭を作って主に褒めて貰いたかった。

 それを傲慢だと言うのなら、天使を堕としたあのの方がよっぽど、──傲慢じゃないか。

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