第63話 にいちゃんとおれ

散歩はいつもねえちゃんと行ってたんだけど、最近は、にいちゃんと行く。



ねえちゃんとおちびの部屋から声がして、おれもねぐらで目が覚める。



「にいちゃん! はやく起きて! シロ待ってるよ!」


「うううう……あと5分だけ……」



朝はいつもこんな感じだ。

なんだかんだでしばらく動かないにいちゃんを、ねぐらのなかから見守っている。


何度も起こされてようやくにいちゃんがおれのねぐらの扉を開ける。


「シロ〜にいちゃんだよ〜おはよう〜」




にいちゃんが着替えて、おれも胸のところにリードというやつをつけて、さあ出発だ。



「あちぃ〜」

にいちゃんは歩くのが早い。

おれも少し小走りみたいになって、それがとてもいい。


「だめだ、暑すぎる……。自販機でなんか買お」

おれがかぎたい草があるところをわかっているのか、たまにぜつみょうなリードさばきを見せることがある。


ねえちゃんは、ゆっくりきょろきょろまわりを見ながら歩く。花が咲いたとか、空が青いとか、いろいろ話しかけてきて、それにおれが合わせてあげる。そんな感じ。最近はおちびも加わって、もっとゆっくりだ。


あ、どっちがいいとかそういう話じゃあないんだ。


ねえちゃんと行く時はねえちゃんの、にいちゃんと行く時はにいちゃんの、それぞれの歩き方があって、おれが面白いよね。



そうそう、にいちゃんとの散歩には一つ楽しみがあって。


「シロ、最後にやるか! おすわり!」



お! きたきた。おすわりからの〜。



「行くぞ!!」


ダーーーーーッシュ!!!!



2人で走る。走る!



これ!!




にいちゃんならではのスピード感!!




楽しい!!!

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