第61話 特訓開始

おちびはいつの間にか大きくなっている。ずりずりのスピードがどんどん上がって、ねぇちゃんがひぃひぃ言ってる。



おちび!


今のお前なら、できるかもしれない……!




おちびの目の前に、ボールを持ってって……と。



ぷひぷひ! ぽとり。



「あー?」


いいかおちび、これがおれのボールだ。

おまえ、これを投げてみろ。


「あう」


いいぞ、そうだつかんだな。そのまま投げろ。


そうそうそうだ! 


腕を伸ばして。


おおきくまわして……!!



「あむ」


ちがーーーーーう! ううーん気持ちはわかるぞ。でも違うんだおちび! 


なめるじゃなくてな・げ・る!


「あっ! おちびそれはシロのボールだから! なめないの!」



あっねぇちゃん。まぁ、しかたないかぁ。気長に待つか。おっ、こんなところにいいものが……。



「おちび、おちびのおもちゃあるよ! ね? なめるならそっちにしよう! ……ってあれ? おちびのおもちゃはどこだ……?」



はむはむはむはむはむはむ!!


はむはむはむはむはむはむ!!!



「でぇぇぇぇぇぇぇぇいこらシロ! おちびのおもちゃで遊ばない!!」



えっ? なになに? おれなんかした?



「ああああド◯ンちゃんのツノが折れてるぅぅぅ」


これいいかみごごちだな! おちびいいなぁいいなぁ。



「あむあむ」


「おおおおおちびシロのボールなめないでぇぇぇぇぇ!!」






……あーあ。ボールもド◯ンちゃんもねぇちゃんにとられちゃったな。


まいったなぁおちび。


でも、特訓はまだはじまったばかりだ。がんばるぞ。いいな!

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