第30話 ニガテ?なあいつ


「今の時季って着るもの悩むね。結構歩くから重ね着すると暑いし。でもなぁー、汗かくと冷えるんだよなぁ」


 ねぇちゃんどうした、寒いのか? 北国の女が聞いて呆れるぞ。


 あと、自分が寒いからって俺には服を着せなくていいからな。なんたって俺にはこの毛皮があるからな。

 さあ、今日も散歩でぶいぶい言わすぜ。



『シロちゃーーーーん!』



 俺、最近散歩中にちょっとニガテなヤツがいるんだよね。



『シロちゃんシロちゃん!!』



 テンションがやたらと高くて、びっくりするんだ。

 挨拶したら、俺より年下だったんだ。初めて俺より年下のカワイイに出会ったんだ。

 遊びに誘われたら断らないことで定評のある俺が、しばらく固まっちまったんだ。

 いやーあの時は参ったぜ。



『シロちゃんシロちゃんシロちゃんシロちゃん!!!!』


ハナコ……。さっきからずっと聞こえてたけどお前、今日も元気だな。


『シロちゃんあそぼ! シロちゃんあそぼ! シロちゃんあそぼ!!』


えっ、ちょっ……ちょ! 上からくるのやめろ!


『あーそーんーでー!!』


足! お前年上に足のせるのしつれいなんだぞ!! やめろって。


『やだー! あそんで!!』


こら耳を引っ張るんじゃない! もう……やめなさい!!


『う……うぅ……なんでおこるの? ハナコ、あそびたいだけなのに……』


あぁあぁぁ、いや、怒ってない。おこってないから……。泣くのやめて。

わかったから、遊ぶから。


『やった! あそんであそんで!!』


しっぽ噛むのやめて。

よーしそれじゃあ俺も反撃だ!


『いたーい! いたいよー!!』


えっ、えっ、加減したよ? 加減したよ?


「シロ! 年下の子には優しくしなさいよ」


えぇぇぇぇぇ!?!? 俺なんもしてないよ?

手加減してるってばーー!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る