第1章 遅れてやってくるのはヒーローだけで十分
江角勇助は遅れてやってくる
6月21日。
幼稚園時代、結婚を約束した男児は3人。
小学生時代、下駄箱にラブレターを入れられた回数、6年間で10回。
中学生時代、屋上や校舎裏に呼び出された回数、3年間で5回。そのうち1回は男子生徒からではなく女子生徒から。
高校生時代は学園祭のミスコンで第3位になったほどの容姿を持つ。
早い話、
「ねえねえそこの君。今暇? よければ俺とお茶しない?」
高校を卒業した今でも、軽い男がナンパをしかけてくるほど。駅や繁華街など、人通りの多い所に行けば、20メートル歩く度に声をかけられたことも。中には芸能事務所からのスカウトからもあった。興味無かったので、彼女は丁重に断ったが。
もう一度言おう、
「悪いけど私、彼氏を待っているの」
だが、彼女には恋人が、彼氏がいた。美人な女性がいつまでも独り身であるはずがない、これは古来より定められた世界のルールと言っても過言ではない。
「いやいや嘘でしょ。だって君、ここに2時間も立ちっぱなしじゃん。本当は暇なんでしょ?」
2時間も待っている
「なんでかしらね。約束の時間はとっくに過ぎているのに、どうして私は2時間も犬の銅像の前で立っているのかしらね」
彼女の怒りのオーラにナンパ男は一瞬たじろぐ。銅像の犬もきっとこの場から逃げ出したくなるくらいの怒りの覇気。
だがここで引いては2時間も監視していた意義が無くなる、と意気込むナンパ男。軽い男にも軽い男なりに、意地とプライドというものがあった。
「そ、それは大変だね。きっと君の彼氏は約束を忘れて、今頃ふかふかベッドの上で寝ているんだよ。そんな彼氏なんか放っておいて、俺と――」
「残念。ちゃんと起きてまーす」
ナンパ男の肩を背後からガシっと掴む1人の男。
「
男の名前は
「悪い悪い。……ところで君、俺の彼女にまだ何か用?」
キリっと
ナンパ師にもプライドと意地があると言ったが、さすがに彼氏持ちの女性を釣ろうとするほど、バカではない。
彼はバツが悪そうな顔で、へへへと笑いながら2人の前から立ち去った。
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登場人物情報が更新されました
・
19歳。女性
ミスコンで銅賞を貰えるほどの容姿を持つ。
彼氏持ち。
好きなライダーは、仮面ライダー電王(超クライマックスフォーム)
・
19歳。男性
好きなライダーは、仮面ライダーディケイド(通常形態)。
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