人間と感情
人間とは美しいものだと思う。
ひとは色々と考える。
哀れで愚かな人はいるが
誰一人として単純なものはいない。
皆複雑で、皆何かを抱え込んだまま
醜く掠れている。
そしてそれが美しい。
純粋に見える瞳の奥に
明るく弾けた笑顔の裏に
隠しきれない妬みと憎悪。
皆何かに怯えて
心の奥底では小さく縮こまっていて
本当に哀れで、惨めで
それでも周りと調和しようとして
平気なふりをして。
ああ、あの人は文句ばかり言う。
ああ、あの人はいつも明るくて
まるで苦労なんか知らないみたい。
綺麗な人、華やかな人、魅力的な人、誠実な人。
いつも怒っている人、悔しがっている人、
それを隠せない惨めな人。
ひと、ひと、ひと。
それでも人は美しい。
そこに感情があるから。
心のうねりが、
それを曝け出す人も、魅せる人も、
溢れ出てしまってどうしようもない人も、
またまるで無関心で平気な顔をしている人も、
少なからずそこには何かが眠っている。
感情とは美しいもの。
人間とはどこまでいっても
どうしようもなく不完全で体たらくであるから、
思慮深いように見えて
生まれた時から何も変わらず
傷つき傷つけて生きてきたから、
考えても考えても
結局は感情に飲まれて苦しむから、
いつか死ぬのをわかっていて
こうして一生懸命生きているから、
だから
だから人間とは美しい。
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