本田家の日常1

本田家にて。

「ねー楓?」

寝転んでスマホをいじりながら、言う。

この、ちょうどいい暇なカンジがいいのです!

「なに?」

「・・・楓ってさ、お兄ちゃん欲しかった?」

「えっ!?」

楓はびっくりしたみたいで、文庫本から顔をあげてる。

すると、同じくスマホから顔をあげた苺と目が合う。

「そんなに驚く~?」

「・・・まあね。」

二人同時に、顔を元に戻す。

こういうとこ、きょうだいだなーって思う。

「んで、どうなの?」

楓が、悩むような顔で考えてる。

おーっ、返事に期待だねっ!

「う~ん・・・。」

時計の針の微かな音と、楓が文庫本をめくる音だけが聞こえてる。











「どうなの?」

「あっ、まだ話続いてたの?」

「続いてるよっ!」

元気にツッコむ。

「・・・別に、欲しいとかないよ。」

やけに口調が優しいな。お姉ちゃん嬉しいぞっ♪

「なんで?」

「こんなお姉ちゃん、嫌かなぁって。」

「別に?」

うむっ!

実に愛のある「別に?」であったぞー、少年!


そして苺は、満足げにスマホいじりに専念するのであった。


これが、本田家の日常である。


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