第26話ゴブ平

マスターに俺達2匹は呼び出された。

1匹は俺で、もう1匹は俺と同じ2期生のゴブ道だ。


棍棒片手に激戦を生き抜いた 俺達に

マスターは名前を付けてくださった。

ゴブ太の大兄と共に、弱きを助け、強きを挫く、正義の味方ゴブになれと言われた。

あんまり正義の味方の意味は分からなかったが、女子供老人を助けろ、そんな意味だと思う。


ゴブ太の大兄は村の経営とかで忙しく

もっぱら正義の味方をするのは、弟分のゴブ道と俺の2匹だ。


この前はニンゲンの子供が、野良ゴブリンに襲われていたのを助けた。

ニンゲンの子供は泣きながら叫んでいたが

俺が野良ゴブリンを倒し近づくともっと泣いた。そのあげく気絶した。失礼なやつだった

闇も近く怪我もしているようで、仕方がないので村へと連れて帰る。

背中に背負うが、途中で気が付いたが

人暴れした後、尿を漏らしまた気絶した。

ニンゲンとはすぐに気絶する生き物なのか森の中で気絶等すれば一瞬で腹の中だろう。

危なっかしい。

ニンゲンとはこんなにもか弱き存在なのか

マスターが助けろと言っていた意味がよく分かる。


村へと戻ったが、ニンゲンはまだ起きない

仕方がないから、ゴブミ姐さんの下に運ぶ

ゴブミ姐さんは勝手に連れてきたのかと怒る

どうやらニンゲンの親がこのニンゲンを探しに来るかもしれない。いっぱい連れてきたら

大変だ。そんな風に言われ、改めて自分の軽率な行動に頭を下げた。

ゴブ太の大兄に報告してくるよう言われた

ホウレンソウは大事だと言われていたのを思い出す。ヤサイではない。


駆け足だ。


ゴブ太大兄は頷くと分かったと一言。

怒られると思った俺は申し訳なく謝った。

ゴブ太大兄に肩を叩かれ、良くやった。

と言ってくれた。嬉しかった。


スキップをしながらゴブミ姐さんの下に戻った。不用意に近づいたせいでニンゲンに大泣きされ、ゴブミ姐さんに裏へと連行され

ボコボコにされた。腫れた顔で土下座した。

悲しい。



弟分のゴブ道が帰って来た。

ゴブ道もニンゲンを助けたらしい。

森でビッグボアの牙に刺されたニンゲンの

手当てをしたらしい。すごいなゴブ道は!

兄弟分として誇らしい。


俺はニンゲンを村に連れてきたと話した。

見てみたいと言ったが、俺の顔のようになるぞと言ったら、怯えていた。

痛くないのかと聞いて来たので痛いと返す。

薬を塗れば良いと言うが、薬等持っていないと返す。ゴブ道は腰を指差し持っているじゃないかと言ってきた。

しかし、それはビンに入ったおやつの事だった。不思議な顔をしていると、ゴブ道は自分の腰にくくり付けたおやつを手に広げ

俺の顔に塗ってきた。

勿体無い、おやつ甘いのに。


するとさっきまで痛かった顔の腫れがみるみる引いた!これはすごい!!

なんと、甘いおやつだと思っていたビンの中身は、すごくて甘いおやつだった。

感動した。


夜は焼き肉パーティーが開かれたが、ニンゲンは参加しなかった。しかし、肉を切り分け持っていった。一番旨いところだ。

ヨダレが垂れないよう大変だった。

ニンゲンも泣きながら喜んで食べたらしい。

俺も嬉しい。


翌朝、ゴブミ姐さんに叩き起こされ、

ニンゲンを村まで送っていく事になった。

急いでいるらしいので、背中にまた背負う

今度は尿を漏らすなよと注意するが、

言葉は伝わっていないようだった。

仕方がない。


村の近くに着き、背負ったニンゲンを下ろす

俺が森の中に行くまで手を振っていた。

良い事をしたと思うと、心が晴れやかになった。マスターが言っていたのはこう言う事か

流石はマスターだ。

感心した。



今日もまたゴブ道と共に、弱きを助け、悪くて強いヤツを挫く、正義の味方ゴブを心掛ける。



(ゴブコブ言うとります。)

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