第6話ダンジョンマスター

ゴブ太の報告を受けモニターのチェックしていると、1人の商人風の男が何を血迷ったか入り口に走ってきた。どうなってんだ?

後続の集団に矢を射かけられているのを見ると敵対していると伺える。

ゴブ達を奥へ下がらせる。後ろは山賊か?

髭はボーボーで小汚ないし、馬に乗りながら剣を振り回している奴もいるし。

警戒しているのか山賊達は洞穴には入らずに

入り口を遠目にウロウロしていた。

とりあえず商人風の男は殺さないよう命令し

4期生の新人ゴブを2匹、入り口から覗かせる。1匹の頭に矢が突き刺さった。

あ…ば、バカ逃げろ!!ちょっと挑発しろって言っただけなのに…。残った1匹は棍棒を放り捨て奥へと逃げ出す。ナイス演技!?


臆病な新人ゴブの演技?に勝てそうって思ったに違いない山賊達は馬から降り、洞穴へと足を踏み入れた。

今回は罠のスイッチを切っている。

警戒のし過ぎで帰られても困るし、場所知られたからには永遠にゆっくりしていってもらいたいものだ。


6人の山賊達は曲がり角の奥の殺しの間にて生涯を終えた。

逃げた一匹を追いかけたら奥で20匹近いゴブ達が息を潜めて待ち構えてるのだ、怖いよね。チビる自信しかない。


今回の戦利品、捕虜の商人1人に山賊の持ち物多数。おっ銀貨持ってやがる。山賊の懐を探っているゴブがモニター越しに銀貨3枚をこちらに見えるように掲げた。誰かから奪った銀貨だろうが有難く頂戴しよう。

安物ぽい剣とボロボロの木製盾。二棍棒流ゴブに真っ二つに叩き割られた盾もある。薪くらいにはなるかな。

後は、…、それは要らない!すぐ捨てろ!!

山賊の死体から衣服と下着を剥いだゴブ太が

ますたーはきますか?って言ってきた。

他人の下着は履けないタイプのダンジョンマスターなんですぐに焼却処分してください。

お願いします。まだ裸生活は続いてるのだ。


あっコラ!ゴブ太自分で履こうとしない!!

バッチイからすぐポイしなさい!!


頭に被ろうとしない!!



…さてそろそろ捕虜の処遇を考える。

殺してしまい、DPに換金してしまうもいいが、山賊の死体で結構稼げたし。1人200DP位で1000DPちょいか、防衛ボーナス等込みである。

情報を聞き出すのも良いかもしれない。定期的にゴブ達を偵察に出すがあんまり芳しくない。ここは一体どこなのかとか知りたいし、地図なんかも欲しい。能力にマップはあるが基本ダンジョン内とすぐ外の入り口から見える範囲くらい。

生きて帰れるかどうかは分からないがね。


ちょっと強目に捕まえたせいで気絶している

商人の男をゴブ太に起こして貰う。

あっこら、ゴブ太!強すぎ死んじゃうからその人。手荒すぎる起こしかたで起こされた商人の男は目に見えて怯えている。

ああ、ゴブリンに囲まれてるのも原因の1つか。ゴブ太以外は外に行かす。

ほら落ち着いて可愛いゴブ太だけだよ、

ゴメン嘘付いた、ゴブ太の顔全然可愛くなかった。

モニター越しに声をかける。驚いた顔が面白かった。声しか聞こえないのでキョロキョロしながらこちらの質問に素直に答えてくれた。

行商人をしているらしく山賊に襲われ、ここまで逃げてきた。財布からなけなしの金貨を出して助けてくれと土下座する勢いで懇願している。

命を助けるのはいいが、場所を知られるのは困る。ゴブ太に記憶が飛ぶ位に殴って貰うか?嫌ダメだな、命も一緒に飛びかねない。

声に出ていたようで、行商の男も首が取れんばかりに横に振る。


他にも地図を見せて貰うが結構大まかなやつだ。今いる場所は大体長靴の爪先の辺りだ

イタリア半島を想像して欲しい。陸続きの長靴、しかし地中海ではなく地中湖。海もあるらしいが見た事はないらしい。湖には船もあるが漁師の小船が主流。沖に出過ぎるとネッシーならぬ大型の魔物もよく出没するため危険も多い。長靴国の名前はターラント王国

脛から膝の辺りに王都があるため踝から下は荒れている。山賊、盗賊が横行。土地も荒れているのでなかなか支援も受けずらく、昨年は支援物資を領主達が横流ししたため随分目減りしていた、というのが平民達の共通の認識。逆らえば見せしめに殺されるのもままある。怖い、異なる世界怖い。

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