第二節

 CMに切り替わったところで、すぐに一時停止のボタンを押した。

 質問は十問もある。一問一問の間隔が短くて考えるヒマなんて無かったし、オレの頭じゃCMの間に考えるなんてこともまず無理だからだ。

 変というか、不気味な質問ばっかりだけど、なんとなく惹かれるので、ここはじっくりと考えたい。

 勉強のときより熱心に考えちゃうオレってどうなんだろうなぁ。

 中間テストのために夜更かししてまで頑張ってたんだけど、“馬鹿の考え休むに似たり”ということわざにもあるぐらいで、ぜーんぜんはかどらねぇし。

 で、悩むのにもいいかげん疲れてきたし、飽きてもきてたんで、気分転換をしようと録画した深夜のバラエティ番組を観たら、これだよ。

 もうダメだね。この後勉強を再開するなんてまず無理だよ、無理無理。

 ということで話を戻すけど、そのバラエティ番組は、もう中堅じゃんっていう自称若手のお笑い芸人が、コアでマニアックな世界を覗き見るっていう趣旨の番組で、今週は“サイコパス”の特集だから、けっこう楽しみにしていた。

 実はそのせいもあって勉強に集中できなかったんだよね。観たい気持ちが勝っちゃって。

 サイコパスは、先週放送が始まった深夜アニメを観てから興味を持っていて、そしたらたまたま、いつも観ている番組で特集されるっていうんで、やったと思って録画したんだ。けど、よく考えたら同じテレビ局なんだよね。ようは番組の宣伝、略して番宣だ。

 そんなに視聴率が欲しいかねぇ。

 まぁ面白かったし、おかげでサイコパスのことが色々わかったから、オレとしては満足してるんだけど。

 あ、ちなみにだけど、サイコパスっていうのを簡単に説明すると、“反社会的人格”な奴のことらしい。社会の捕食者(プレデター)で、感情が欠如していて、極端に冷酷、無慈悲、エゴイズム、結果至上主義なんだとか。

 プレデターって、捕食者って意味だったんだな。知らなかった。てっきり宇宙人の名前だと思ってたよ。

 ようするに、サイコパスっていうのは他人を思いやることができなくて、悪いことを悪いことだとも思わないし、後悔もしなくて、人を平気で裏切るわがままな奴ってことらしいよ。

 そういう異常な人格を持った人間が、実は身近に潜んでいるらしく、もしかしたら家族や友人かもしれないんだと。

 アニメでは、友人がある日突然にサイコパスの本性をむき出しにして、まずは家族を血祭りに上げ、そして主人公にまで魔の手が及んで……。

 っていう話なんだけど、あれが現実に起きたらと思うと、すっげぇ怖いよな。特に怖いのは、誰がサイコパスなのかがわからないってところだ。

 でも特定する方法はちゃんとあって、それがさっきの“サイコパス診断”っていうわけ。あれの答えによって、サイコパスとしての素質が有るか無いかがわかるんだと。

 と、そういうことだから、さっきの十問もある質問、一つ一つしっかり考えて、ちゃんとメモしてから続きを観ようと思う。

 オレってこういうときはマメなんだよね。これが勉強とか、普段でも活かせたらいいんだけど、それができないんだよねぇ。

 ほんとめんどくせぇよなぁ。

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