会社を辞めてDIY始めました

ガルGC

第1話 プロローグ

 本州中央部に位置する北陸地方。

 年明けから早二ヶ月。地球温暖化の影響か季節の流れが崩れ、今月も雪がいまだ膝ほどの高さで積もっている。


 昨日よりも、肌寒い。


 きっと昨夜のうちに降っていたのだろう--車から降りてそんな感想を抱きつつ、工場に出勤する。いつもならすぐに更衣室に向かい、作業着に着替え向かう。が、この日はいつものように作業着に着替えず、工場の手前にある事務所に向かった。

 「失礼します」と言ってから中に入る。

 事務所には工場の各ラインの責任者、工場長、そして--マネージャーがいた。


「おはよう加藤くん、どうした?」


 マネージャーが気づいて声をかける。


「おはようございます西村さん。少しは話したいことが……時間は大丈夫ですか?」


「んー、大丈夫やよ」


 西村さんは軽く答え、それで話って?


「はい」


 深呼吸を数回、気持ちを落ち着かせる。

 西村さんに目を合わせて、力強く答えた。






「会社、辞めます」

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