異世界で暮らす日曜日β

inumoco_committee

第1話 プロローグ

 俺の生活は、基本的に学校とバイトだ。

 貧乏大学生が一人暮らしで生計を立てていくためには、バイトが必須である。

 俺は学校以外の時間のほとんどをバイトに割いている。

 しかし俺には、一つだけこだわりがあるのだ。

 日曜日は働かない。

 家に引きこもり、のんびりと過ごす。

 そのために毎日頑張っているのだ。


 その日もいつものようにバイトから帰ってきた。

 時刻は午後十時。

 家に帰ってきてすることはといえば、夕飯を食べる、風呂に入る、寝る。

 それだけだ。

 俺の家にはテレビがない。

 テレビだけが娯楽といったわけじゃないが特にすることもないのだ。

 帰りがけに買ってきたコンビニ弁当を食べ、少し休んで風呂に入る。

 寝る準備が整ったころにはちょうど日付が変わっていた。

 寝る前にスマホを取り出し、メールをチェックしていると、一軒の奇妙なメールが目に飛び込んできた。

 

『日曜日を大切にするあなたへ』


 スパムメールだろうか。

 不審に思いながらも開いてみる。


『おめでとうございます。あなたは「異世界で暮らす日曜日」クローズドβテスターに選ばれました。ご参加いただけるようであれば、利用規約をご一読の上、「参加する」ボタンよりご参加ください。


 株式会社サンデーライフ異世界サービス』


 文面はこうだった。

 スマホゲームか何かだろうか。

 サンデーライフ……聞いたことのない会社だな。

 利用規約を開いてみる。

 ずらずらと書かれた文章の最後に、一際目立つようにこう書かれていた。


『口外しないこと。』


 うーん。特に怪しいところはないような?

 せっかくだから参加してみるか!

 俺はあまり深く考えずに「参加する」をタップした。

 すると、同じアドレスからメールが届いた。


『ご参加ありがとうございます。日曜日を楽しみにお待ちください。


 株式会社サンデーライフ異世界サービス』


 俺はスマホの画面を消し、明日に備えて眠りについた。

 日曜日に何が起きるかなど何も考えずに……。


 

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