――凜


甘い香りが僕を包む

故郷の香りに似た

優しいあの風が

ふわりと抜け

思わず僕は

くすりと

笑った

ふわ


――凜――


音が

ふいに

僕の耳を

しゃらんと

吹き鳴きつつ

静寂が一瞬破れ

追憶が生まれ出た


凜――


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