薔薇の花

 どうしてあなたは去ってしまったの? 私を残して。

 あの時みたいに、助けてはくださらないのですか?


 親の指定した相手と結婚する、それは当たり前で、そう言うものだと思っておりました。

 けれども、顔合わせの日、その場にあなたを見つけて、少し期待したんです。

 また助けていただけるのではないかと。

 だって、貢ぎ物なら、人質なら、王太子の妻でなくても、第二王子の妻でも構わないでしょう。


 けれどもあなたは、こっそり会いに来てくれることもなく、結婚式の翌々日には城を去ってしまった。私を一人城に残して。


 あなたにとって私は、ただの遊び相手だったのですか?

 私はあなたをお待ちしておりますと、そうお伝えしましたよね。

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