はくしょく

 俺様の召喚術では神を起こせず、総てが水の泡に成り果てた。血族が積み重ねた所業も塵芥への帰し、底無き絶望に叩き憑けられ――されど己は諦めを知らず、最愛なる楽園の誕生を夢に視る。方法ならば幾等でも思考可能なのだ。過去の改竄が一の『脳髄』で在る。数多に枝分かれた魔法使いの『家』を遡り、最高傑作雑魚の末路を永劫に変記せよ。死に、消滅した兄弟どもの魂に、夜鷹の沈黙を! 其処で俺様は思ったのだ――何故、父親は神なのに母は人類を選んだ。奴等は初歩的な致命を犯した。可哀想な山羊面よ。欠陥品に相応しい、混血の絶叫で在った。さて。此処で酷い問題が発生した。楽園の極々一部でも青色の星では顕現し難い。素晴らしい! 俺様は真に『母親』で在るべき球体を描き着いたのだ。此れが神の選択で在り、我等が魔法使いの終幕で成れ。染めるのだ。世界を最も美しい色で染めるのだ。だ。こそが神の化粧と輝かしい。地獄の炎も楽園の花々も地上の人型も、跋扈するものども……俺自身もに! 宙ヨ。宙ヨ。覗き込むが好い。神ヨ。神世――ヨグ=ソトホウト! 美白のは如何か! 彼女地球の貌は如何か!


 ――剥がれる塗料。飛沫、生命の赤。

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