第2話 あの世
えっと。
私は、死んでしまいました。そして、よく聞く死神さんそのものに、背中を大鎌の柄でつつかれつつ、見知らぬところ(当然だよね・・・死なないと来れない場所なんだろうし・・・)に連れてこられました。
そこは夢のように綺麗な小川と、信じられないぐらい可憐で美しい花々たちに埋め尽くされていました。
きゃーー!! なんて! す・て・き・なの~!!!
乙女な私には、とっても眩しくて鼻血が出るぐらいこーふんしちゃうじゃないの!!
悶える私を、気持ち悪そうに大鎌の柄でつつく死神さん。
でもどうにも止まらないの~。抑圧された欲望が花開いて、悶え号泣という事態を引き起こしていました。
ふぅ~。
死神さんの溜息が聞こえたと思うと、遠ざかって行く足音が響ます。
ざっく ざっく
あぁ~! 待って、謝るから。私を1人にしないで~!!
私は、別の意味で号泣しました。
どれぐらい、泣いたでしょう。
すっかり両目はお岩さんになってしまいました。当然目は開きません。
美しい景色も、見ることができなくなりました。
瞼が重くて・・・・・・
その時、足音はしないけれど近づく気配。柔道で鍛え上げられた私だから気づくことが出来たのかな?
「落ち着きましたか?」
物凄く優しくて慈愛に満ちた声に、ひやりとした何か。
それが手だと、腫れた瞼が一瞬で治って、目にしたので知りました。
す~ごい!! 凄い! 凄い!!
眩しい程の輝きを放っている女神様がいます。
「あなたは、これから異世界に転生をします。何か希望はありますか? 全てを叶えることは出来ませんが、多少は希望に沿うようにすることができます」
えっ~!! 本当!?
わたわた ばたばた 鼻息 ふんふん!
「大丈夫ですか? 」
しまった。女神様の前で申し訳ないものを見せてしまいましたーーー。
しかも思はずとってしまったこのポーズ、この格好、頭隠して尻隠さずだーーー!!!
しかも、こんな厳つい男の悶え姿なんて!! なんて目に悪いものを見せてしまっているのだーーー!!
「本当よう! その気持ち悪い姿、目が腐るわ!!」
へっ? なんだか、姿からは想像もつかないようなセリフが・・・・・・
ぴかー! 眩しい!! 目が痛い!!!
「ごめんなさいーーー」
私は、目を押さえながら土下座という器用なことして謝ったのだけど・・・?
あれ? あれれれ!?
声!! さっきの自分の声!! いつもの野太いだみ声じゃないです!?
「あー。あー。ただいまマイクのテストちゅう」
やはり、厳つい男の声ではなくて、可愛い女の子のような、鈴を転がすような声です。
「えー!? なんで? なんで?」
パニックになって振り回す手に触れた、ふにゅっとした感触。
驚いてその場所に視線を向けると、ありえないものがそこにはありました。
ふにゅ ふにゅ もみ もみ
もう一度、ふにゅ ふにゅ もみ もみ
涙がダー
そこにあったのは、ささやかでも欲しかった夢の乳さんが、物凄くビックなサイズでありました。リンゴサイズのおっぱい。
にやにや うふふふ 笑って
ふにゅ ふにゅ もみ もみ さわって
ついでに、自分の体の他の所もぱたぱた触ってみれば、股間にあった嫌なものが無くなって、ツインテール髪の立派なボインのある、どうみても女の子。
鏡、鏡・鏡~
見たい見たい。今の私の姿が見た~い!!
きょろきょろ辺りを探しても、鏡なんてありもしない。でも、ここには有名な川がある。その名も『三途の川』。
すぐに顔を映して見ると、可憐なピンクのゴスロリ少女が!!
なにこれ? 私??
うそじゃなく、私だよね?
ぺたぺた すりすり なでなで
どこを触ってみても、私です。
「これなら、まだ見られるでしょう」
女神様のお言葉に、私感動しました。
「ありがとうございます。お優しい女神様。あなた様のおかげで、長年の夢がかないました」
「いいのよ。見たくないものを見させられるより、私好みのゴスロリの方が、私も目の保養になるしね。 さてこれで落ち着いて話が出来るわね。 で、転生についての希望はあるかしら」
私、かん発入れづに、申し上げます。
「この容姿で転生したいです。それ以外に望はありません!!」
なぜか女神様が満面の輝かんばかりの笑顔で私を見ます。
「まあ。変態さんかと思っていたら、同好の士でしたのね。すばらしい!! この良さが分かるあなたに、特別ボーナス付きで転生させてあげます」
・・・そういう訳では、ないけど・・・まあいっか・・・貰えるものは、貰います。なんといっても、異世界は不安なんです。
「転生先の世界は、よくある剣と魔法の魔物や獣人などがいる世界です! 全ての生き物が、あなたが『チャーム』と唱えるとあなたに魅了されて使役できるスキルと、あらゆるものが回復・修繕できる、神光魔法しんこうまほう、それから空間魔法が使えるようにしてないと駄目ね。なんといっても、ゴスロリは衣装も命です。素敵なゴスロリ服100枚も、ささやかながらプレゼントとしてさしあげます。ぜひ、世界中にゴスロリの素晴らしさを広めましょう!!」
「はい!! がんばります!!」
「そのためには、赤ちゃんからでなく、今の15歳のままがいいわね。では、行ってらっしゃい~」
こうして私は、異世界に転生することに決まりました。
「いってきま~す。女神様~ありがとうございました~」
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