第16話 くまさんのお話

 くまさんの言うことにゃ、お嬢さんが、帰ってこないので、森で迷子になっているのではないかとみんなで捜索をしていると、複数の人間の足跡がみつかって、お嬢さんの履いていた靴の片方が落ちていたそうだ。


 驚くことにこのくまさん、拐われたお嬢さんのお母さんで、これで大人のサイズらしい。


 この世界のくまは、完全な草食動物で、おおきくなっても50センチ。


 だから、お嬢さんのサイズ・・・、身長も25センチという小ささらしい。大人の女性? クマ女性と分かっていても、抱きついてすりすりしたくなる、見た目動くくまのぬいぐるみ。(失礼だけど)


 そんなだから、人間にとってくまさんはペットして大人気。


 もちろん、人間と同じように知能があるなんてこれっぽっちも考えていない。だから檻の中に閉じ込めて、構いたい時だけ構って、後はほったらかしで、ご飯もトイレも困る生活をさせられたり、酷いと鞭で叩いて奴隷の様に働かす者もいるようだ。


 そんな人間には天誅だ。バチを当ててやるべき!


 がうぅうwwwwwww


 そう言えば思い出した。道中に見つけた角うさぎ。くまが、完全な草食なら、うさぎもそうなのかな? 


 大きさは、かなりでかいけど・・・・・・・。



 ついでにとばかりにカムイに聞いたら、5メートル以上がざらにいて、凶暴な肉食獣だった。あの角でブスりと獲物を倒してばりばりと食べるそうだ。


 めちゃくちゃ怖い状況を想像してしまい、気持ち悪くなる。


 おえぇっwwwwww


 あの時、そっと離れた自分を誉めてあげたい。あの後も、徹底的に避けたのも、幸いだった。


 ほっとしていると、さくらこさんが、肩までちょこちょこ登ってきて耳元で話しかけてきた。


 「みゅみゅっ(たすけてあげて)」


 おお、さくらこさんの言っていることが分かるよ~~~。感動ぉ~~~。


握り拳で震えていると、生暖かい視線が1つ。


 ちらっ。


 「これ、さくらこさん。無理をいうものじゃないぞ」


 カムイがたしなめる。


 人に拐われたと言うことは、人のいる所に行って人に会うってことだ。確かに、人には会いたくない。


 うーー うーー うーー


 頭を抱えて悩む。


 「みゅっ?(だめ?)」


 小首を傾げて聞かないで。そんなことされたら、無理だって思っていても頑張っちゃうしかないと思ってしまうじゃないの。


 「くぅんまぁ(お願いいたします)」


 くっっ! 可愛すぎるORZ 


 何とかして上げたい気持ちもあるのだけどー、やはり人のいる所に行くのは躊躇ってしまう。これが、転移して数年たってこの世界のことが分かるようになっていたら、もしかしてってところだけど・・・・・・・。


 カムイは、無理することないって言ってくれるけど、さくらこさんは、助けてあげたいようだしwww、悩む。


 決められなくて、うじうじしてしまった。

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