第6話女神のペット、ペットを飼います


う――――ん。あふぅ~。


 いろいろあって非常に疲れていたせいか、はたまた、この巣籠り風テントが心地よすぎたからか、異世界初日というのに、思わぬぐっすり寝ていました。


 気分爽快!!


 両手を上げて背伸びすると、あ――――ん、気持ちいい。


 右にう―――ん。 左にう―――ん。


 視界の端に、何かがちらりと見える。


 うん? あれ何? あんなの昨日あったっけ?


 寝ぼけていて気が付かなかった?


 巣籠り風テントの奥、隅っこに何やら茶色いもふもふな玉の様な物。


 じーと近づいて覗いてみると、ところどころに赤いシミ?


 そして、動かない物体。


 この巣籠り風テント、確か魔物なんかは入ってこられないはず、ってことは、動物?


 そして、怪我をしている。動かない。これって、し・死んでる? なになに、なんで!!


 寝て起きたら動物の死体が!! なんて、アンビリバボー!! 止めて下さい。


 軽くぱにっく中!!!!!!!!! 思わず、ムンクの叫び――――――!


 きゅう~


 小さな鳴き声。本当に、小さな鳴き声。


 でも良かった。この子生きてるよ。生きているなら、魔法が使える。


 えっと、治療魔法でなくて聖魔法だったっけ。


 呪文は、なしでいいんだね。そして、大切なのはイメージね。


 治ったところ、元気になったところを想像して、えいっ! どうだ。


 動物の体が微かに光る。


 じーと見つめて確認すると、呼吸が楽になったのか、しっかり体が上下するようになっていた。


 ほっ、よかった。これで安心だ。


 それにしても、この子は、一体何の動物だろう?


 あっ! そうか。こんな時こそ鑑定様だ。


 「鑑定」


 分類 動物

 種族 イタテン

 

 レベル 0

 

 生命維持 8/50

 魔力容量 5/5

 空腹度  1/100

 睡眠度  40/100

 持久力  3/5

 幸福度  20/100

 運    70/100


 ギフト


 女神からの愛



 ふう。もう慣れました。

 

 『女神からの愛』なんて、もろ女神が関係してるっていう証拠じゃないの。


 しかし、種族のイタテン。なんか痛そうな名前だよね。


 きゅっ・・・・。


 かっ・かわいい泣き声(胸きゅん)


 あっ、こっち見た。そして、後ずさろうとしてそれ以上下がれなくて困って固まる。なんかこれ、フェレットに似ている?


 きゅるるる きゅるる


 泣き声より大きいお腹の音。そうだよね。怪我していたし、空腹度1だったし。


 でも、ドックフードしかないんだよね。この際似たようなものだし、食べるかな?


 『空間結界箱』


 フェレットフード

 水

 フェレットのベット

 サンドイッチ


  

 なんか、そんな気はしていたわ。

 

 ドックフードがフェレットフードに、犬小屋がフェレットのベットにかわっていた。


 完ぺきに、女神でしょう。


 これって、私に飼うようにってこと?


 きゅるるるるるる きゅるる


 「あっ! そうだった。お腹空いているよね。今出すね」


 フェレットフードとなっているから、イタテンって、きっとフェレットだね。


 『空間結界箱』から取り出したフェレットフードは、ちゃんとお皿に入って出て来た。これって、助かるけど一度限り?


 『空間結界箱』を開いて確認してみると、フェレットフードの文字は消えていない。ってことは、永久的に取り出せるってこと?


 さすが、女神様の愛ですね~。非常に恐ろしい。


 きゅるるる きゅるる


 あっ・そうだった。それよりも先にご飯をあげなきゃ。


 「どうぞ、食べていいよ」


 差し出してみたけど、なかなか食べようとしない。警戒しているのかな? そりゃそうだよね。いきなり食べていいよって言われても、言葉が解らないし、私のことも知らない人で、不安だよね。


 さて困った。どうするかなぁ~。無理やり食べさすわけいかないし。


 うーん。しばらく離れて様子をみてみるか。


 ただ様子をみるのも時間がもったいないから、ついでに私も朝ごはんにしよう。


 サンドイッチは、どんなのかな?


 るんるん


 昨日の牛丼、美味しかったから期待大よね。


 るる るんる~ん~♪


 おお、ハムとレタスとチーズの入ったサンドイッチですね。実にオーソドックス。


 それと、チキンと玉ねぎの南蛮風サンドイッチ。サーモンフライとレタスと薄切りレモンサンドイッチ。


 ありがとうございます、女神様。では、女神様に一応感謝して「いただきます」。


 あ――――ん。むしゃむしゃ もぐもぐ ごっくん


 どれも、美味しすぎるよ――――――――――。これからの、ご飯のレベル困ってしまうじゃないの!! 後、コーヒーが欲しい。


 カリカリ かりかり


 何の音・・・? きょろきょろ


 うん? あっ! 食べてる。よかったぁwwww。


 でも、この子どうしよう。


 取り合えず、このままこの『巣籠りテント』は出したまま探検に行くか。


 女神は、この子を飼えって言っているみたいだけど、この子の気持ちもわからないし、しばらく様子見がいいよね。

 





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