第20話 元へ
「もう、この公園には来ないでほしい。」
一日ぶりのはずなのに、何年も会ってない人のように冷たく、一方的に告げてきた瑠依。
「どうして?」
「藍が最初に言ったでしょ。'期間限定の友達'って。」
そうだった。
瑠依と出逢った時、私は友達なんていらないと思っていたから、そんな事を約束していた。
今では逆なのに。
「嫌だ。」
自分勝手な私だ。
瑠依に恋をしてしまった気持ちはもう止められない。
離れたくない。
「僕も嫌だよ。だけど、決まったことだから。」
少し悲しげに、苦しそうに言う瑠依。
瑠依だけそんな顔をするのはずるい。
私は好きな人を教えてもらえず、気持ちを伝えることすら許してもらえてないのに。
私は崩れてしまいたいぐらい苦しいのに。
いつからこんな風に変わったのだろう。
きっと瑠依に変えられてしまったのだ。
だけど、約束をしたのは私。
瑠依を引き止めることなど出来ないのだから。
「分かってる。バイバイ、瑠依。」
そう言い捨てて、私は走った。
公園を出るまで、家に着くまで、一度も振り返らなかった。
そして、昨日のようには後ろから瑠依の声が聞こえてくることは無かった。
これでいいんだ。
何もかも受け取っていなかったあの頃へ帰るんだ。
涙を流すことなどなかった
前の私へ…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます