台風と蝉

夏になって台風がやって来た。

私は日々の不養生のためにだらしなく寝ている。

そういえば、蝉の声が聞こえない。

蝉の奴は鳴く暇も鳴く踏ん張っているのだろうか?

私は思った。

蝉は立派だなぁ。

余命幾ばくなのに、何とか食いしばって生きている。

暑いだけで死にたくなる私とは大違いだなぁ。

その後また思った。

台風に攫われた蝉はどこに往くのだろう?

今回の台風の溶ける地点には蝉の死骸で島ができているのだろうか?

そうなれば、イルカや小魚や大魚までもがその島をつつきに来るだろう。

きっとその景色を上から見たら向日葵の花の様だろうなとも思った。

だいぶ、ゲテモノな向日葵ではあるが。


気が病むと下らない事を考えてしまうものである。


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