第2話 少女との出会い
暑い、退屈だ。セミがうるさい
古文なんて習ってなんの役に立つんだ
などとくだらないことを考えながら黒板の字をダラダラと
ノートに取っていた。
きっと他人から見たらものすごく気の抜けた顔をしているだろう。
ふと横に目をやると、水色のシャーペンを走らせながら
ノートをとっている女子がいる。
髪は黒髪で長さは肩くらい、
たまに癖なのか、前髪を触っている。
横顔だけであまり見えないが
校則で禁止されている化粧も少しだけしているみたいだ。
まぁ化粧してない女子の方が少ないくらいだし、
派手でもなく、地味でもない普通の女子高生といった感じだ。
彼女は俺と違って真面目な顔で授業を受けている。
と思いきや、一番後ろで窓際なことをいいことに
時折、グラウンドでやってる他クラスの体育を眺めている。
好きな人でも目で追ってるのだろうか
ほんの数秒しか見ていないのに
俺の視線に気づいたのか
彼女が、ちらっとこっちを見て、また前を向いた。
見ていたことがバレて恥ずかしくなり
少し耳が熱くなった。
一日の授業が終わり
部活に行く者、家に帰る者、教室で駄弁る者に分かれた。
俺はというと、なんとなくまだ席に座っていた
隣の彼女もまた座っていたからである。
ふと、彼女に話しかけられた
たわいもないなんでもない話
「あーもうすぐテストだねー、早く夏休みにならないかなー」
本当になんでもないその辺の高校生の会話
5分ほどの短い会話だったけど、
俺にはすごくこの時間が心地よく
一生この時間が続けば良いのに、とさえ思っていた。
彼女の素朴で自然な笑顔
透き通るような綺麗で元気な声
ほんのり香るシャンプーの香り
ごく普通の女の子なのに
ただの同級生なのに
自分でも理由はわからないが
目の前の彼女にどうしようもなく惹かれていることに気づいた。
気づかなければよかったのに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます