第4話 面会1
「殿は武田家との協力関係を築くために忙しいのだ。先日も、勝頼殿と密会していたしな。本来はお前ごとき不審者が会えるお方ではない」
殿の場所へ行く途中、筧は俺にこんなことを言い出した
長い廊下を歩き、ある部屋のふすまの前で、筧は足を止める
俺もそれに合わせ、ストップした
「ついたぞ。この部屋の中で殿はお前を待っている。粗相がないように気を付けろ。しかし、お前は教養がなさそうだからな」
たしかにマナーは学んでいない
「まあいい。我が殿は細かいことは気にしないお方だ。部屋の中に入れ」
「はあ」
俺は家系に言われて、ふすまに手をかける
「失礼します」
そう言って勢いよく開けた
「バカモノ。勝手に開けるな」
筧が後ろから文句を言う
「よい。それよりお前が筧が連れてきたと言う不審者か?」
中にいた殿は、俺の顔を見て言う
「はい、俺が筧さんに連れて来られた者です」
どんな格好で待ってるかと思えば、意外と派手じゃない格好だな
俺ごときに会うのに、気合を入れて服を選ばんだろうが
一段高い場所で胡坐をかき、俺を見つめてる
「おぬしの服は何処で手に入れたものだ? 前についてる丸いものは何だ?」
「丸いものですか?」
そう言って学生服を触る
「このボタンですか?」
「それは”ぼたん”と言うのか? 紐や帯ではなく、そんなもので服を止めるとは。変わってるな」
「はあ、そうですか」
「貴様。殿にその口のきき方。無礼であろう」
「よいと言った。それで、その服はどうやって手に入れたのだ? 下にはいてるものも変わってるなあ」
「えっと、俺の住んでる場所では、こういう服がたくさんあるんです」
「ほう、どんな場所に住んでるのだ? 蝦夷か? それとも、琉球であろうか? いや、清国の可能性もあるな」
「いえ、日本ですが、この時代とは違うと言うか」
「よく分からんなあ。どういうことか詳しく説明しろ」
「おそらく俺は、未来から来たんです。変な光に包まれたと思ったら、筧さんと出会った場所にいました」
「殿、この者は殿を惑わそうとしてるようです。これ以上は有益な情報が出てこないでしょう。この者の処分は、この筧に命じ下さい」
本当のことしか言っていないが
「筧、俺はこの者と話を話しをしてるのだ。ひかえていろ」
「しかし……」
「二度も言わせるな。ひかえろ」
「はい」
「邪魔が入ったが続けるぞ。光に包まれたら、筧と出会った場所にいた。お前がもともといた場所は、この国の未来。そう言うことだな?」
「はい、そうです」
「笑い飛ばしたくなるような話だが、こんな格好の不審者を説明するなら、ほかにないだろう。お前、未来から来たと言う証拠は出せるのか?」」
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