戦国クロス

ブッキー

第1話 プロローグ

一騎打ち


その言葉通り、将による一対一の戦いが続いていた


周りの雑兵は加勢どころか、巻き添えを恐れて逃げてさえいる


彼等の配下である武将は遠巻きに戦いを見守るだけ


この戦いで、戦の勝ち負けが決まるのだろう


「どうした? 今川義元よ。貴殿の矢は。俺の命をとることができないのか? その程度の腕で、東海道一の弓とは笑わせる」


鉄砲をもった武将が、弓をもった相手に呼びかけた


「黙れ。このうつけ者。貴様ごとき青二才が、天下統一を進める、この義元を止めれると思うな」


手にしていた弓に生成した矢をつがえ、義元は敵武将に狙いを定めた


祈りに応えて与えられた異能により、眼前の青二才に矢が届く軌道が導き出される


「冥府へと去れ」


義元は必殺の一撃を放つ


その矢はうつけの体を貫き、さらに結晶化まで起こすはずであった


「効かんな」


必殺の一撃は、突如炎に包まれた


「冥府送りはこうやるのだ」


うつけは鉄砲の先に、長い形の銃弾を詰めた


そのまま引き金に指をかけ、弾を放とうとする


「何? 火薬は何時つめた?」


義元が驚愕するように、この時代の銃の大半は火縄銃


火薬と弾を詰めないと使えない、不便なものであった


「我が銃に、そのようなものは不要」


引き金に反応し、撃鉄が落ちる


それが薬莢にこめられたうつけの血液を刺激し、内部で爆発が起きた


爆風が銃弾を押し、銃身で加速


放たれた弾は、義元の元へ届く前にはでる


「炎が上がっただと?」


銃弾に入っていたのも、かの武将の血液である


「ははは、これが第六天の魔王が俺に与えてくれた力よ」


義元は炎に包まれる


体についた血液から発火してるようだ


「さらばだ。弓使いの武将。また、地獄であう日が来たら、よろしく頼むぞ」


「信長、お前は、戦国の世の君臨する魔王になるつもりか?」


これから数十年


「うつけ」と呼ばれた大名は、異能の力を使って全国統一に迫った

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